2020/06/01

MoneyProレビューその5:
清算管理機能の謎

_前回までの記事で、MFFマクロによるMoneyPro関連のデータ変換方法の解説は一段落しました。しかし、MoneyProにはまだまだ未解明の機能が残されています。その中でもっとも情報が少なく難解なのが清算管理機能でしょう。筆者の実験過程を例に、その動作を解説します。

1.クレジットカード口座をでっちあげる

_まず、実験用のダミーのクレジットカード口座を新規設定します↓。作業を行ったのは2020/04/02です(ちなみにMoneyProは「いつ操作を行ったのか」が非常に重要になる家計簿ソフトです)

MoneyProにクレジットカード口座を設定

_【限度額】…は、そのクレジットカードの利用枠ですね。【借入金】は、新規設定する時点におけるクレジットカードの利用残高で、↑では一応10万円としてありますが…実は入力しても意味がありません(理由は後述)。そして、↑の【照合】が肝心の清算管理機能のスイッチになっています。ONにするとその下に【自動精算済み】のスイッチが出現します。

_↑の設定を【保存】すると(下の【削除】ボタンがすごく目立つのでついつい叩いてしまいますが、間違えないように!)、クレジットカードの欄に【59ダミークレジット】が出現します。その【59ダミークレジット】を選択する(チェックマークを入れる)と、↓のように黄緑で囲った部分が表示されます。これはクレジットカードであれば表示されるのですが、【照合】スイッチ=ONで【清算済み】額が表示されるようになっています。

_なお、2020/4/2に開始残高0円となっているのは、先ほど入力した開始残高10万円が反映されていないためです。これはどうやらMoneyProのバグのようでして、開始残高を設定するためにはダミーの利用額を同日に計上するしかなさそうです。

MoneyProにクレジットカード口座が登録された

_さて、今回やっているのはクレジットカード口座に関する実験なので、日付を過去に戻しましょう。【59ダミークレジット】の利用開始日を2019/12/31に変更します↓。

MoneyProのクレジットカード口座の利用開始日を設定

_開始日が2019/12/31に変更されました↓(そのトランザクションを表示させるには、当然、対象期間を2019/12/31を含むように指定します)。なお、このクレジットカードは締め日が毎月15日、支払日がその翌月6日と想定しますが、これらの情報をMoneyProに与える方法は無いので、ユーザーが把握しておかねばなりません。

MoneyProのクレジットカードの利用開始日を変更

2.ダミーのトランザクションを入力してみる

_では、実験用のデータとして、このクレジットカードを2020/01/04に12,000円利用した、というトランザクションを入力します↓。左側のダイアログでは、【支払い済み】にはなっています(クレジットカードなんですから使った時に支払いは済んでいますよね)が、この時点では当然ながら銀行口座からの引き落としはなされていないので【清算済み】のチェックは入れません。

_ただし、前述のクレジットカードの設定の画面で【自動精算済み】スイッチをONにしていると、この【清算済み】のチェックが自動的に入るようになります。

MoneyProにクレジットカードの利用履歴を入力

_では、この【清算済み】のチェックを入れるのはいつか?_この12,000円の買い物は2020/01/15に締められて2020/02/06に口座引き落としとなりますから、2020/02/06以降、というわけです。そこで02/06に左側のダイアログ内で【清算済み】にチェックを入れた↓とすると、右上の【清算済み】欄に12,000円が計上されます↓。

【清算済み】のチェックを入れる

_しかし、↑では青線枠内の【利用可能残高】も【借入金】も金額が変わりません。なぜなら、銀行口座からクレジットカードへの振り込み取引が入力されていないからです。そのトランザクションを入力すると、青線枠内の数字があるべき姿に変わります↓。ただし、MoneyProにはちょっと困ったところがあって…こういったトランザクションを入力しても、青線枠内の数字に反映されないという現象がしばしば発生します。そのようなときはMoneyProを一旦閉じて再起動してください。

銀行口座からクレジットカードへの振り込み取引を入力すると青線枠内の数字が変わる

3.クレジットカードの口座引き落としの清算を管理する

_続いて、2020/03/05に7,000円を使った、というトランザクションを入力した直後の画面を示します↓。

2020/03/05に7,000円を使った、というトランザクションを入力

_ちなみに、ここで画面右上に薄く表示されている【未清算】ボタンを叩くと、画面右側には未精算(【清算済み】チェックが入っていない)のトランザクションだけが表示されます↓。

画面右上に薄く表示されている【未清算】ボタンを叩く

_さて、この2020/03/05の利用額に対する口座引き落としは2020/04/06に行われるわけですが、その通知は2020/03/15の締め日以降に、クレジットカード会社から利用者に郵送なりWebなりで送られてきますよね?_MoneyProは、このように「将来の金の支払い」を管理するのが本来の目的なので、そういう通知が来た時点で口座引き落としの取引を入力すべきなのです。そこで、2020/04/02の時点で「2020/04/06に銀行口座から【59ダミークレジット】に7,000円振り込む」というトランザクションを入力してみます。

_↓のように、「入力した時点でから見て未来の日付・時刻となる」の取引を入力すると、左側のダイアログ内では【計画済み】という表示と、その下に【自動】というスイッチが出現します。このスイッチは、その日のその時刻(↓の画面例では2020/04/06 19:33)が来ると自動的に清算済みにする、という意味です(その下の【リピート】は定期的な支払いを入力する機能ですが、解説は省略します)

未来の日付・時刻となる取引を入力

_ところが、↑の左側のデータを入力しても、緑枠の期間が2020/04/06を含んでいるにも関わらず、右側にこのトランザクションが表示されません。

_MoneyProでは、現時点(この例では2020/04/02です)から見て未来の取引はレポート画面の「予定された取引」で表示されます↓。

レポート画面の「予定された取引」

_また、カレンダー画面でも「計画済み」として未来の取引のトランザクションが表示されます。データの修正はこちらから行えます↓。カレンダーの2020/04/06のところに〇が入っているのは、未精算の取引がその日に存在する(未来なんだから当然ですね)ことを示しています。

カレンダー画面でも「計画済み」として未来の取引のトランザクションが表示される

_では、この2020/04/06の取引日を2020/04/01に変更したら↓どうなるでしょうか?_それを実行すると、取引日時の欄はオレンジの文字で【期限切れ】と表示されます↓。

_その下にある【支払い済みとしてマーク】ボタンを叩くと、【支払い済み】にはなりますが、清算済みにはなりません(【自動精算済み】スイッチをOFFにしているから)。これは銀行からの引き落としですから、それが確認したうえで【清算済み】をチェックしましょう。 

MoneyProの精算日を過去の日付に変えると

_このように、MoneyProは本来は小切手や手形の決済日を管理することを主眼に作られており、我が国の家計簿ソフト/アプリのユーザーにとってはその振る舞いを把握するのはなかなか難しいのではないかと思います。筆者もこの記事をどうまとめるか悩んだ末で「自分が行った動作検証をそのまま再現しよう」という方針にしました。皆様の参考となれば幸いです。


(補遺)クレジットカードの照合機能をOFFすると、残高画面の右上に【清算済み】の金額が表示されなくなります↓。

クレジットカードの照合機能をOFFすると、残高画面の右上に【清算済み】の金額が表示されなくなります

次回は「その他資産」・「その他負債」口座に関する取引機能について解説します

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