2020/06/01

誰も教えてくれない「かけ~ぼ」での家計管理法(前篇)

_今回から、Android/iOSの家計簿アプリ「かけ~ぼ」の連載を始めます。当Blogで取り上げる、ということはデータのCSV出力が可能とはなっているのですが…例によって実用的であるかどうか、が気になるところです。

1.基本的な"使い方"はここに

_「かけ~ぼ」はマニュアルなぞ見なくても使えるアプリを目指しているそうなので、現在のところオンラインマニュアルは見当たらず、ヘルプにもわずかなFAQしか入っていません。ネット上の記事は↓のようなものがあります、が、いずれも筆者が必要とする情報は見つけられませんでした…

_なお、かけ~ぼには有料版は無く、広告が常時表示される無料版のみとなっています。

2.「かけ~ぼ」の費目構成

_家計簿アプリのレビューをするならまずは費目構成からですね。デフォルトではこのようになっています↓。

かけーぼの費目構成

特徴

  • カスタマイズは、追加・削除・順序変更が可能
  • データ入力時に上下左右4つの費目をフリック入力できる
  • 「帳簿」ごとに費目構成を変えられるらしい(設定変更が必要)

突っ込みどころ

  • 車関係の費目が「ガソリン」になっている。車検や駐車場代を考えるとこの名称はさすがに不適切
  • 曲がりなりにも家計簿の費目で「生活費」って何だヲイ? 日用品費を想定しているのか?
  • 衣類、健康・理美容、保険 が無い
  • 収入向けの費目が用意されていない(ユーザーが設定しなければならない)

3.「かけ~ぼ」は実はシンプルではない

_同じスマホ用家計簿アプリの例として「おカネレコ」を比較対象にしますと、家計簿は単一で、支払い方法を複数定義して入力時に選択する、という仕組みになっています。後発の「おカネレコプラス」で複数の家計簿を取り扱えるようになったわけです。

_それに対し、「かけ~ぼ」は無料版でも「帳簿」を複数作成でき(もっとも現時点では無料版しか無いわけですが)、帳簿間での振替取引である「帳簿間送金」が入力可能。集計画面における収支計算やグラフ表示は、帳簿ごとか複数の帳簿での合算で行われます。また「帳簿」とは別に「支払い方法」として電子マネーとクレジットカードをそれぞれ複数設定でき、電子マネーへの入金は「チャージ」として記帳するようになっています。

_開発元のHPには『「かけ〜ぼ」は、「快適な操作感・表示の速さ・シンプル」にこだわっています。』とありますが、実際のところはそれほどシンプルではないことが判ります。多くのユーザーは、最初のうちは「かけ~ぼ」が家計簿アプリとしてどのように振る舞うのか、いまいち把握できないまま何となく記帳を始めることになるでしょう。

_その最大の原因は、「帳簿」と「支払い方法」の関係が理解しにくいものになっていることにあります。もちろん、これは「かけーぼ」がユーザーの家計管理のニーズに応じて柔軟に対応できるように作られているからなのですが…残念ながらネット上をさんざん探し回っても「かけ~ぼ」の操作方法は解説されていても、家計簿としての概念を解説している記事は筆者には探し出せませんでした。ならば筆者自身で解説するしかない…というのが今回の記事の主題です。

4.「かけ~ぼ」の基本設定の例

かけーぼの設定の概念図

_↑の図の4人家族をモデルとして「かけ~ぼ」の基本設定の例を示します。最初に、全員に個別の帳簿を割り当てます↓。

かけーぼの帳簿の設定

_そして、父・母・長女の3人がクレジットカードを、全員が電子マネーを持っているとします↓。

かけーぼのクレジットカードと電子マネーの設定

_「かけ~ぼ」では、支払いを記帳する際、どの帳簿(4つ)から、どの支払い方法(各帳簿の現金と、クレジットカード3つおよび電子マネー4つ)で支払ったのかを選択できるようになっています。冒頭の図では、家族のメンバーがメインユーザーとなっているクレジットカード・電子マネーに■記号を入れています。

_クレジットカードや電子マネーは、使える人は限定されておらず、例えば父のクレジットカードAで母の支出を支払うことも可能であり、その場合は「支出額は母の帳簿の利用日に薄赤文字で参考表示されるが、その分の請求額は父の帳簿の請求日に赤文字で表示される」という動作をします(このあたりは次の項目で解説します)。電子マネーでもほぼ同様です。

_また、冒頭の図では、それぞれの帳簿の枠内に薄いグレーで「財布」と「銀行口座」を示していますが、実は「かけーぼ」にはこのような概念は無く、それぞれの帳簿において「現金」という一つの塊として取り扱います。そして、この「現金」にはいわゆる口座残高の概念も無いので、月内の「収入ー支出=収支(これを「かけ~ぼ」では”残高”と呼んでいる)」を把握するためだけに使うわけです。

_例えば、父の2月の収入が40万円であるとして、父が支出した金額が24万円であるなら、「かけ~ぼ」が父の帳簿の2月の”残高”として表示するのは差し引き16万円ということになります。父が2月頭の時点でいくら持っていたかは管理の対象外です(設定変更で前月の"残高"を繰り越し収入とすることもできますが、家計管理上はあまり意味が無いでしょう)。そういう考え方なので、当然ながら「残高調整」の機能もありません。

_これらのことを理解しておかないと、「かけ~ぼ」によるマトモな家計管理はできないでしょう。以下、「かけ~ぼ」の各種機能の動作について解説していきます。

5.クレジットカードの取扱い

_「かけ〜ぼ」では、クレジットカードの諸元を設定する画面↓にて、【登録タイプ】として「利用日に登録」と「請求日に登録」のどちらかを選択できます。

_「利用日に登録」の場合は、利用日に支出額が計上されます。利用額は、カレンダー画面の利用日に赤色で表示されます。当月の支出額を把握するのに向いた方式で、請求日(銀行から口座引落しされる日)や請求額は管理しません。

かけーぼのクレジットカードの設定

_一方、「請求日に登録」の場合↓は、前回締日の翌日〜次回締日の間の利用実績が、請求日にまとめて支出額に計上されます。利用額はカレンダー画面の利用日に薄赤色で表示され、請求日には請求額が赤色で表示されます(つまり未来の請求日に計上される)。請求月のキャッシュフローを把握するのに向いていると言えます。

かけーぼのクレジットカードの設定B

_ちなみに、例として5月2日の海外での買い物の利用額が6月4日になっても口座引落しされず、8月になってやっと加盟店からカード会社にデータ送信され請求日が10月4日になった…といったことが稀にありますが、「かけ~ぼ」はそのあたりはかなり造り込まれており、当該の買い物について個別に請求日を変更できるようになっています(その際に支払い回数も変更できる)

かけーぼのクレジットカードの請求日の変更

_そして、「利用日に登録」と「請求日に登録」は共に銀行口座からクレジットカード会社への引き落としは記帳しません。前述のように、「かけ〜ぼ」には銀行口座という概念が無いからです。そのため、クレジットカードの引き落とし日までに十分な資金を銀行口座に入れておく…といった管理はユーザー自身で行わねばなりません。


次回は、後篇として電子マネーの取扱い等を解説します。

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