2020/06/16

今から使ってみる人のためのMoneytree入門

_皆様こんにちは。今回からMoneytreeを取り上げます。

_旧Blogでは2017年10月の「MoneyTreeでは家計管理は無理という結論にいきなり達しました」という記事が長い間一番人気になっており、実のところ筆者としては大変困惑しておりました。

_ただ、この記事のタイトルについては筆者は2020年6月現在でもそうだと考えています。正確に申し上げると「Moneytreeアプリは家計管理には使えないが、アカウントアグリゲーションサービスとしてのMT Linkは非常に有用」というのが今の筆者の見解です。

_今回から数回にわたって、このMT LinkとMoneytreeアプリの関係性を中心に、Moneytreeについて述べていきたいと思います。なお、Moneytreeに関しては以下のサイトが参考になります。

Web版Moneytreeのスクリーンショット

1.MT Linkとは一体ナニか

_ Moneytreeのコア技術と言われるMT Linkの仕組みは以下のようになっています。

  • 個人ユーザーAが、銀行Bに口座BA、銀行Cに口座CAを持っているとする。
  • 個人ユーザーAは、Moneytreeにユーザー登録を行い、口座BA・CAの認証情報を預ける(認証情報とは、後段のプロセスがスクレイピングによるならIDとパスワード、APIによるならトークンになる)。
  • Moneytreeサーバーは、この認証情報によって銀行B・Cのサイトにアクセスし口座BA・CAの残高情報を得る。
  • PFM(Personal Finance Management)事業者Dは、APIによりMoneytreeサーバ-にアクセスできる契約をMoneytreeと結んでいる。
  • 個人ユーザーAは、PFM事業者Dが提供する家計簿アプリにおいて、Monrytreeを経由して口座BA・CAの情報を取得することに同意する
  • PFM事業者Dは、Moneytreeから提供されたAPIによりMoneytreeサーバ-にアクセスし、口座BA・CAに関する情報を得て活用できる(もちろん、そういう規約を上記の同意の際に提示しておくことが前提)

_ビジネスモデルとしては上記下線部が開発元の収入源になっています。注意すべきは、Moneytree自身は個人ユーザーの取引行動に関する情報を解析したりはしないと表明していても、MT Linkを利用するPFM事業者Dはそうではないかもしれない、という点。Dが提示するサービス規約はよく読んでおいたほうが良さそうです。

2.Moneytreeアプリの位置付け

_ところで、上記のPFM事業者Dは、実はMoneytreeとは別の家計簿アプリ開発元でも、さらには、銀行B・Cそのものあっても構いません。ここがMT Linkの面白いところで、この仕組みを活用した一般消費者向け家計簿アプリの例としては、すでに当Blogで取り上げました「おカネレコプラス」があります。また、三井住友銀行アプリのように、MT Linkを活用してユーザーの自行以外の銀行口座の残高情報を提供するものもあります。

_これらのアプリは、いずれも、Moneytreeと連携することについてユーザーの同意を得るプロセスがあり、当然、ユーザーはその前にMoneytreeにユーザー登録をして、さらにMoneytreeと金融機関を連携させる設定をしておかねばなりません。そのための窓口になるのがMoneytreeアプリです。これらの関係を図式化すると↓のようになります。

MT Linkの概念図

_こういったことから、開発元の、Moneytreeアプリに対するスタンスが見えてきます。CNETのこちらの記事を引用すれば、Moneytreeアプリは”「このような資産管理アプリが作れます」というMT LINKの事例の一つ”に過ぎないのです。

3.アカウントアグリゲーションサービスとしてのMT Linkの性能は

_冒頭で申し上げたとおり、家計簿アプリとしてのMoneytreeは次回に述べるとおりイマイチ感が満載ですが、アカウントアグリゲーションサービスとしてのMT Linkは、筆者の主観では他の競合サービス(マネーフォワードMEやZaimなど)を凌駕する性能を有しています。すなわち、

  1. 金融機関からできる限り多くの情報を取得しようと努力している
    他のオンライン家計簿サービスでは「代表口座」しか取得しない場合や、複数の口座の総額しか取得しない場合がある
  2. 証券口座の預かり現金に入金される配当金まで捕捉できる
    かつてはKakeibonも出来たのだが、現時点でこれができるのはMoneytreeぐらい
  3. webスクレイピングが高速
    待たされ時間は(体感で)マネーフォワードMEやZaimの数分の一程度。銀行はオープンAPIによって高速化されているが、他の業種はAPI化が全く進んでいないのでこの点は重要
  4. 取引データの費目の自動仕訳はかなり頭が良い
    例えばマネーフォワードMEはときどき大間抜けな自動仕訳をしてくることがあるが、Moneytreeで呆れかえることはほとんど無い
  5. 金融機関サイトのメンテナンス時間中は情報取得を抑止する機能がある
    他のオンライン家計簿サービスは、まずアクセスして、相手側に弾かれて初めてメンテナンス中であることを検知する
  6. 情報取得の状況を1ヶ月程度溯って確認出来る
    アカウントアグリゲーションシステムがどのように振る舞っているかをユーザーに開示している。他のオンライン家計簿サービスは前回のアクセス日時程度しか開示しない
  7. 「サイトリニューアルによる情報取得不可」のトラブル対応力に優れる
    スクレイピングに付き物の現象。Dr.Walletはこの点が甚だ弱かった

_このような特長があります。↓に、Moneytreeのアカウント設定の画面例を示します。

Moneytreeの銀行連携の設定画面

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