_MoneyPro(前回の記事はこちら)は家計簿というよりは資産管理ソフトなので、自分が所有している現金同等物以外の「資産」と、自分が他人に対して背負っている「負債」を管理する機能があり、それに伴って取引種別(トランザクションの種別)も専用のものが用意されています。しかし、これらがどのように作用するのかが非常に分かりにくいため、筆者がテストした範囲で解説します。
1.資産購入
_↓は、49その筋銀行から40,000出して「91ダミー資産」という資産(貴金属)を購入した、という入力例です。【資産残高を増額】がONになっているのは、このトランザクションにより「91ダミー資産」を40,000円増額するという意味で、OFFにすれば増額は行われません。
_このトランザクションのデータをエクスポートした場合は、そのスイッチのON/OFFによらず
-
49その筋銀行→91ダミー資産_40,000円の資産購入(MFFマクロでは振替取引に変換する)
-
49その筋銀行から40,000円の支出
_の2つの取引として出力されます。基本的には【資産残高を増額】=ON とすべきでしょう(はっきり言って、この機能にどんな意義があるのかよく判らん…OFFなら「贈与した」ことにはなるけど…)。
2.資産売却
_↓は「91ダミー資産」(貴金属)を20,000円分売却し「49その筋銀行」に入金した、というトランザクションの例です。【部分返済】という項目が何とも言えず違和感を醸し出していますが…これは字面はともかく、これをONにしている場合は「91ダミー資産」の残高は20,000円減少するのみで、OFFにした取引を入力すると、「91ダミー資産」の残高は(それまでがいくらであったとしても)0円となり、20,000円のみがその筋銀行に入金される、という動作をします。つまり、残高未満で売却したのであれば買い叩かれた、残高超えで売却したのであれば儲けたということですが、損失も利益も明示的に記帳されるわけではありません。
_エクスポートしたデータでは、このスイッチのON/OFFに拠らず
-
91ダミー資産→49その筋銀行_20,000円の資産売却(MFFマクロでは振替取引に変換する)
-
49その筋銀行へ20,000円の収入
_の2つの取引として出力されます。基本的には【部分返済】=ON としておくべきでしょう。
3.取得負債
_↓は「59ダミー負債」という負債口座から借入金30,000円を「49その筋銀行」に入金した、というトランザクションの例です。これも日本語的にはかなり違和感がありますね…。【負債残高を増額】=ONであれば、この30,000円分、負債口座の残高はアップします。OFFであれば残高は増加せず、事実上30,000円の贈与を受けた、という話になります。
_このトランザクションをエクスポートすると、このスイッチのON/OFFに拠らず
-
59ダミー負債→49その筋銀行_30,000円の取得負債(MFFマクロでは振替取引に変換する)
-
49その筋銀行へ30,000円の収入
_の2つの取引が出力されます。フツーに【負債残高を増額】=ONとしておくべきでしょう。
4.完済負債
_↓はちょっと複雑です。「49その筋銀行」から利息2,000円+元金25,000円+追加支払い3,000円=30,000円を支払い、「59ダミー負債」は元金25,000円+追加支払い3,000円=28,000円分残高が減少します。利息の2,000円はどこかへ消えてしまいます。日本語的に「完済負債」というのは非常に違和感がありますね…なにせ完済しきれていない返済でも「完済」という名称になってしまうのですから…
_この取引にはスイッチの類は無く、データをエクスポートすると
-
49その筋銀行→59ダミー負債_28,000円の「完済負債」(MFFマクロでは振替取引に変換する)
-
49その筋銀行から30,000円の支出
_という2つのデータが出力されます。
5.MoenyProのこういう機能って使わなきゃあかんの?
_結論から申し上げると、「その他資産」・「その他負債」という口座種別も、「資産購入」・「資産売却」・「取得負債」・「完済負債」というトランザクション種別も、別に使う必要はありません。資産は「支払い口座」で、負債は「クレジットカード」で代替でき、取引は全て「振り込み」で記帳できます。
_では、これらの機能の存在意義は一体どこにあるのか?というと…取引の際にお金の一部(または全部)が消える、という取引を記帳できることです。しかし、例えば前述のように「完済負債」のトランザクションでは利息分が消えてしまうわけですが、本来ならこの利息分はきちんと支払利息として費用計上すべきですよね?_どうも用途がイマイチ判らん機能ではあります。そしてMoneyProはそういう機能が多すぎるように思われるのです…。