_前回の記事はちょっとした予告編となりましたが、今回から、Microsoftからかつて発売されていた資産管理ソフト「マイクロソフトマネー」を取り上げます。
1.2011年1月に販売停止してから9年
_最終バージョンはMoney Plus Sunset Deluxeで、現在は事実上のフリーソフトとして公開されており、MSのサイトからダウンロードして無償で使用することができます。URLはこちらです(いきなり日本語版のDL先を聞いてきますのでご注意下さい)。
_ただし、ソフトにセキュリティ上の問題が発覚しても、もはや修正パッチの提供は望み薄です。OSの更新については、可能な限り後方互換性を維持するのはマイクロソフトの特長なので、10年近く経過した2020年に至っても前回の記事のような対応で使用できていますが…
_PCを買い替えたりしたときに再インストールできるよう、ダウンロードしたインストール用のファイルは残しておくことをお奨めします。
2.MSNマネー残高照会サービス
_これは、MSNマネー(マイクロソフトが運営する金融情報サイト。現在も稼働しています)に金融機関サイトの認証情報を登録すると、口座残高や取引履歴の情報を取得してくれる、いわゆるアカウントアグリゲーションサービスです(でした)。マイクロソフトマネーは、その情報をOFXファイルとして取り込み、各金融機関の口座情報に取引履歴を半自動的(ユーザーによる取引内容の修正と承認行為が必要なため)に記帳できます。また、マイクロソフトマネーには証券口座に手持ちの株式やETFの証券コードと保有数量を登録できるので、市場終値による時価の管理まで可能だったのです。
_このサービスも2011年1月に停止されています。その代替として、マネーフォワードやZaim等の最新のアカウントアグリゲーションサービスから得たデータをOFXファイルに変換して、マイクロソフトマネーに取り込もうというのが当BlogとMFFマクロの目標です。
_ちなみに、このころの他の家計簿アプリ関係の状況は…2009年にオンライン家計簿うきうき、2011年にZaim、2012年にマネーフォワードが、まさにこのサービスと入れ替わりにスタートしています。
_マイクロソフトがMSNマネー残高照会サービスを少々違った形で復活をさせようというのがMoney in Excel(2020/06/20「Money in Excelがじわじわと襲来中…しかし未だに謎は多い」参照)になるわけですが、このサービスが我が国で全面展開されれば、いよいよマイクロソフトマネーに別れを告げることになるのかもしれませんね。
3.強力なレポート機能は未だに最強の座を維持
_筆者が未だにマイクロソフトマネーにすがっている理由です。このソフトのレポート機能では「任意の期間を指定して」その間の資産額の推移や費目別の支出額等のデータをグラフ表示できるほか、そのグラフの元データになっている集計表をExcel形式で出力できます。
_この「任意の期間を指定して」というのがクセ者で、これが可能な他の家計簿アプリは筆者が知る限りではMoneyPro(2020/05/28「MoneyProレビューその4:レポート機能」参照)のみです。
(1)資産額の推移を見る
_口座(マイクロソフトマネー用語では"資産")別の残高を積み上げて推移を棒グラフ化↑したところ。長い年月をかけて貯金額が積み上がっているのを「むふふ」と眺めるのが家計管理・資産管理のモチベーションになるわけです。MFFマクロの名称の由来もそこにあります。
(2)支出を費目別に分析する
_月別の支出を費目別に積み上げて棒グラフ化すると↑のようになります(支出なので棒の向きがマイナス側になります)。このグラフからは、税金・各種保険料・年金保険料を除外してあります(含めることもできます)。これによって、過去に比べて現在の生活に浪費の要素が加わっていないか? といったことを分析できるわけです。ときどき現れている長い棒は特別に大きな支出が発生したことを示しており、こういった支出がどれだけ家計に響いたかを振り返ることもできます。