2020/07/21

開発元も教えてくれないうきうき家計簿シリーズの全体像

_ここまでうきうき家計簿シリーズについて連載で解説してまいりましたが(前回の記事はこちら)、今回で一応まとめます。

1.PCソフトとWeb版の関係

_うきうき家計簿のシリーズは、PCソフトにフリー版と製品版、Web版に無料サービスと有料のプレミアムサービスがあり、データ同期機能の存在もあって、その関係性が極めて判りにくいものになっておりました。これをなんとか図式化すると↓のようになります。

うきうき家計簿シリーズのデータフロー

_この図からお判りのように、他の家計簿アプリから、うきうき家計簿のシリーズにデータを取り込むには、「オンライン家計簿うきうき(公式サイト)」のプレミアムサービスでCSVインポートを行う以外にありません。そのうえで、PCソフト版とデータを同期させることで、結果的にPCソフト版にデータを持ち込むことができます。

2.Superうきうき家計簿の立ち位置

_うきうき家計簿のシリーズ各版の機能を、筆者が主眼としているデータ処理・分析機能に限定して比較評価すると↓のようになります。「Web上のデータとPC内のローカルデータを同期させるためには何らかの課金が必要」であることがお判りいただけると思います。

うきうき家計簿シリーズの機能比較

_なお、「数量・単価の記帳」・「固定費・特別費の分類」の機能は、データ取扱い上、明確な差異があるために星取表に入れてありますが、筆者としては全く重視しておりません。タグ付け機能も、うきうき家計簿は「品名」「店名」「メモ(適用)」の3つの要素を記帳できるのであまり有り難みは無いでしょう。

_…こうして見ますと、「Superうきうき家計簿(前回の記事)」の立ち位置は非常に微妙です。開発元も、PCソフト版とWeb版をどのように差別化するか、かなり頭を悩ませたことでしょう。結局、税込月額200円のインカムが得られるWeb版プレミアムサービスが最も高機能(≠多機能)ということになります。何と言っても、当Blogが最重要視する「他の家計簿アプリからのデータインポート」はこれでしか提供されていないわけですから。

_では、PCソフトを導入するメリットは何か? それは専用ソフト故の動作の軽さにあります。データを手で修正する際、Web版ではいちいちページリロードが発生するわ、データを20件ごとにページ分割して表示する仕様だわ…で、ユーザーに小さからざる苦痛をもたらすでしょう。大量のデータを扱うにはPCソフトの優位性はまだまだあります。

3.これまで触れていませんでしたが、スマホ版もあります

_スマホ版は、実はアプリではなく、スマホでの表示に対応したWeb版です(このURLからログインします)。このサイトはPCのブラウザからアクセスしても問題なく動作します。グラフ機能等はオミットされていますが、出先で思いついたときにデータを入力するなどの用途には十分使えるものになっています。

4.マムクラウド家計簿に比べれば圧倒的に高い完成度

_PC家計簿ソフトからクラウドサービスを派生させた例としては、この「うきうき家計簿」シリーズのほか、「てきぱき家計簿マム」⇒「マムクラウド家計簿(公式サイト)」があります。

_しかし…「マムクラウド家計簿」を見てみますと…月額300円の有料サービスであるはずが、2017年8月のメンテナンスで生じた不具合を解消できていないとのことで、2018年11月以降無料開放された状態となっております。

_また、どこを探してもデータのインポート/エクスポート機能が見当たらず、公式サイトにはPCソフト「てきぱき家計簿マム」との同期機能を実装しようとして断念した、とあります。2020/05/12「てきぱき家計簿マム9 レビューその1:費目構成 」でマムクラウド家計簿について取り上げる、と申し上げておりましたが、残念ながらテストする意義を全く見出せない惨状です…。

_これに対し、うきうき家計簿のシリーズは、細かい詰めの甘さが見えはしますが、筆者が触った範囲では致命的な不具合はありません。「オンライン家計簿うきうき」のプレミアムプランであればデータをインポート/エクスポート両方が可能で、PCソフトとの同期機能を実装している点も(かなり時間がかかることを除けば)ポイントは高いです。

_アカウントアグリゲーションサービスにはセキュリティ上の不安がある、しかし家計簿データにはユビキタス(死語)的にアクセスしたい…という方には十分な機能と完成度を有しています。データを保全しつつ修正を繰り返して精緻な家計管理をしたい方にはこのシリーズはお勧めできるでしょう。

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