2020/05/25

MoneyProレビューその1:
資産管理ソフトとしての基礎事項

_みなさまこんにちは。今回から「MoneyPro」を取り上げます。2010年にiBear LLCからMac/iOS向け資産管理ソフトとしてリリースされ、WindowsPC用が2018年6月に出現しています。当Blogが対象とするのはその日本語版です。今のところネット上で目立つ情報源は

_このようなところが挙げられますので参考にして下さい。

_はっきり言ってマイナーなソフトなので、当Blogでは例外的に操作説明的な記事も掲載する予定です。

MoneyProスクリーンショット

1.MoneyProってどんなソフト?

_簡単に言えば「今風に作られたマスターマネー」です。類似点を列挙すると、

  • カテゴリー(費目)がカスタマイズできる(マスターマネー:一部削除不能 MoneyPro:2階層まで)
  • CSVファイルによるインポート/エクスポート、OFXファイルによるインポートが可能
  • 全ての資産を口座単位で管理し、預金の引き出し、電子マネーへのチャージ、クレジットカードの引落しなど、口座間の資金移動を全て振替取引として取り扱う設計思想
  • 店名・品名・メモ等、情報項目の細分化を志向しないデータ構造
  • カテゴリーや口座名等でのデータ絞り込みや検索機能が充実(結果をエクスポート可能)
…このように、「マスターマネーを基準に家計簿アプリを評価する」のが基本姿勢の筆者にとっては非常に親近感のある造りになっております。一方で、相違点としては
  • スマートフォンを強く意識した画面デザイン(PC版でも1画面あたりの情報量が抑えられている)
  • グラフ機能が充実(…というより、この点はマスターマネーが弱過ぎる)
  • 口座の階層化はできない(他にも可能な家計簿ソフトは少ないけど)
  • 口座・カテゴリー以外のカスタマイズは許容されない(年度初めの月を設定できないのは痛い)

_といったとこが挙げられ、まあ、今時のソフトの作り方になってはいます。

2.MoneyProっておいくら?

  • Windows版がMicrosoft App Storeで1,750円でした。ところが先日App Storeにアクセスしたら期間限定で350円に大幅割引されていました。何の嫌がらせだこれは…(怒)
  • 別途サブスクリプションもあります(230円/月、1,050円/6ヶ月、1,400円/年間)。他のデバイスにインストールされたMoneyProとの同期が可能になります。また、アカウントアグリゲーション機能が使えるようになるらしいですが、海外製であり日本の金融機関に対応しているとは考えにくい(また、その情報がどこにも見当たらない)ため筆者は試す予定はありません。
MoneyProの価格

3.MoneyProはこんな考え方で作られているらしい

(1)口座と取引の種類

_MoneyProには口座に

  • 支払い口座(現金、電子マネー、銀行口座、証券口座等)
  • クレジットカード(通販サイトも該当する)
  • その他の資産(不動産、車、貴金属、有価証券など)
  • その他の負債(借金、ローンなど)

_以上の4種類があります。後ろの2つはあえて使わなくても支障はありません。

_また、取引種別(MoneyPro用語で「トランザクションの種類」)については、

  • 収入
  • 支出
  • 振り込み:MoneyProでは振替取引をこのように呼ぶ。公式マニュアルでは”送金取引”としている
  • 資産購入:「支払い口座」または「クレジットカード」から支払って→「その他の資産」を増額する。すぐに現金化しにくいものが想定されているらしい
  • 資産売却:「その他の資産」を売却した金で→「支払い口座」を増額する
  • 負債引受:「その他の負債」口座から借り受けた金で→「支払い口座」を増額する。残高画面では「取得負債」という名称になる
  • 完済負債:「支払い口座」または「クレジットカード」から支払って→「その他の負債」または「クレジットカード」の負債残高を減額する。金利等を入力することができる

_の7つがあります。「その他の資産」を使って直接「その他の負債」を返済する、といった取引を「振り込み」取引として記帳することもできます。そういうわけで、後ろの4つをあえて使う必要性は薄いです。

(2)MoneyProの特徴的な機能

  • 米国製ということもあって、請求書や小切手の支払い期日・時刻を管理する機能を有しています。つまり、買い物をした期日を記帳するのではなく、その買い物の支払いをいつ行うのか(そして支払ったのか)を記帳できます(そういう運用をしなくてもいいですが)
  • それでいて、クレジットカードの締め日や引き落とし日を設定する機能は無いので、ユーザーが個々の支出に対する引き落とし日を常に把握していなければならず、本来の設計思想どおりに厳密に記帳するのはかなり面倒臭いです。
  • 複数のカテゴリーにまたがる支出取引をカテゴリー別に分割記帳する機能(複合仕訳)があります(筆者の知る限りでは他に実装しているのはマイクロソフトマネー、Zaim、Dr.Walletぐらいです)。ただし、それぞれのカテゴリーに品名等の付帯情報を付けることはできず、中途半端な実装ではあります。
  • レシートなどの写真を取引データ(MoneyProではトランザクションという)に添付できます。
  • アイコンを中心としたUIもMoneyProの大きな特徴です。もともと主にiPhone向けに設計されているので当然ですが…アイコンは1,500以上もあるそうです(アイコンセレクタのダイアログを↓に示します)。米国製のソフトなので日本の生活様式に合わないものもあり、「保険」のような抽象概念を表すものも乏しいですが、コイツはなかなかすごい物量といえます。
MoneyProのアイコン

次回はカテゴリーと口座の設定法について解説します→

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