_現状、銀行を対象としたアカウントアグリゲーションサービスを提供している家計簿アプリは(筆者の認識では)3月末をもって脱落したKakeibonおよびDr.Walletを除外して、以下の5つがあります。
- マネーフォワードME(2020年5月18日「銀行法改正に伴うマネーフォワードMEの銀行連携機能の変更」参照)
- Zaim(2020年5月22日「銀行法改正に伴うオンライン家計簿サービスと銀行のAPI連携も一筋縄ではいかないようです」参照)
- Moneytree(同上)
- Moneylook(同上)
- LINE家計簿
_今回は、5番目の「LINE家計簿」について触れます(レビューは次回に!)。
_LINE家計簿は2018年6月に施行された改正銀行法に対応し、電子決済等代行業者としての登録をしており、2020年6月以降(新型コロナウィルスの影響で期限が9月末まで延長されているらしいですが)の銀行のアカウントアグリゲーションサービスは個別の契約に基づいて提供する、ということになりました。
_筆者が今年の3月にLINE家計簿をテストした際は、LINE家計簿の銀行連携機能は、当時、他の家計簿アプリでAPI連携が可能であった銀行についても、Webスクレイピングにより提供されていました。しかし、最近は↓のように他の家計簿アプリと同様にAPI連携に切換が進んでいます。一方で、前述の個別契約が追い付かないところは、連携を切るところも出てきているようです。
_LINE家計簿は2018年11月リリースですから、その時点では改正銀行法は成立しており、当然、1~2年以内のAPI連携化が視野に入っていたでしょう。それでもあえて大きな開発リソースを投入しなければならないWebスクレイピングで銀行連携機能を構築していたということは…LINEがこのアプリにかける意気込みの強さが伺い知れます。
_ただ、筆者としては、データをエクスポートする機能が実装されない限りは残念アプリ認定です。
_この手のガリバー的ICT事業者は、何でもかんでも自分の領域内でユーザーのニーズが満たせるようにサービス設計をしがちですけれども、こと家計簿サービスに関してだけはそれは避けたほうがいいでしょう。家計データはユーザーのものであり、それを電子データとして持ち出せないようにするのは過剰なユーザー囲い込みというべきもので不適切です。LINE家計簿がこのあたりの考え方を改めてくれればいいんですが…。