2021/04/18

家計簿アプリのデータインポート/エクスポート機能に関する各論(マイクロソフトマネー・マスターマネー篇)

_2021/01/15「家計簿アプリのデータインポート/エクスポート機能の性能比較」をベースにした家計簿アプリ別各論の第七弾(前回の記事はこちら)では「マイクロソフトマネー」と「マスターマネー6」の2本のPC家計簿ソフトを取り上げます。

1.マイクロソフトマネー

(1)マイクロソフトマネーへのインポート

_当Blogでは、2020/07/30「マイクロソフトマネーに他の家計簿アプリのデータをOFXファイルとして取り込む方法」において、

  • 【支払先/支払元】欄に取引先名を入れる(Mode1)
  • 【支払先/支払元】欄に費目情報を入れる(Mode2)

_の2つの運用法をご紹介しています。2021/01/15「家計簿アプリのデータインポート/エクスポート機能の性能比較」では、

  • Mode1運用でインポートする場合…評点37
  • Mode2運用でインポートする場合…評点33

_と、いずれも最も低性能の部類と評価しています。OFXファイルでしかインポートができず、取り込む手順も複雑で、取り込んだ後にも一つ一つのデータをちまちまと承認していく作業が必要になるためです。

_OFXファイルの最大の欠点は、取引に対して費目を明示的に指定できないことです。そのため、Mode1運用ではインポート後の取引データについて↓のように個々のデータに費目を振り分けねばなりません。

MSマネーにデータが取り込まれたが、費目はユーザーが全部指定するのだ

_Mode2運用は、その欠点をマイクロソフトマネーの学習機能によってカバーするもので、それにより取引一つ一つの費目を指定するという苦行を回避しています↓が、それでも評点33とならざるを得ません。

MSマネーにデータが取り込まれたが、費目は学習済みなのですでに割り当てられている

_なお、マイクロソフトマネーは、口座間の資金のやりとり=振替取引を直接インポートできず、支出・収入取引として取り込まれたデータを、これまた逐一振替取引に収入するという厄介な仕事が残ります。その手順は2020/09/09「マイクロソフトマネーに取り込んだ振替取引を修正する方法」に触れておりますので参照して下さい。

_では、これだけの苦行にあえて耐えてでも、なぜ2009年以来進歩が止まっているPCソフトを未だに使い続けるのか…? その理由は2020/07/26「2020年でもまだマイクロソフトマネーを使い続ける理由」にて述べておりますように、スマホアプリやオンライン家計簿では到底不可能な、精緻なグラフ描画を含んだレポート機能が活用できるからです。これだけ強力なソフトが現時点ではフリーソフト扱いで活用できる、というのも大きな魅力ですね。

(2)マイクロソフトマネーからのエクスポート

_前述のように、マイクロソフトマネーへのデータのインポートはユーザーにとっての障壁が厚く高いものとなっていますが、エクスポートは評点3と最も高性能になっています。その理由は2020/07/31「マイクロソフトマネーの取引データを他の家計簿アプリ向けに変換する」で述べたように、前述のレポート機能で期間・資産・費目等の要素で絞り込んだ結果をCSVファイルで出力できるためです。手順は多いですが、できることも多いがゆえの評価です。

「取引の一覧」画面のダイアログ設定は非常に重要

2.マスターマネー

_いよいよ筆者一推しのPC家計簿ソフト「マスターマネー6」を取り上げます。先に申し上げておきますと、筆者はCSVファイルによるインポートは評点=14、エクスポートは評点=3といずれも最強と評して憚りません。

(1)マスターマネーへのインポート

_マスターマネーへのインポート方法はCSVファイルとOFXファイルの2種類があり、CSVファイルについては2020/06/27「マスターマネーに、他の家計簿ソフトから変換したデータをインポートする」で手順をご紹介しています。取り込む際に、CSVファイルのデータ列をマスターマネーのデータ列にどのように対応させるのかを指定できるほか、マスターマネーに未登録のアカウント、カテゴリーが含まれるデータも、既存のアカウント、カテゴリーに振り分けなければ取り込めない仕様となっており、柔軟性・安全性が共に高いのが特長です。さらに、振替取引(マネーフォワード用語で"資金移動")を取り込み時に認識できるため、インポート作業の手間が大きく軽減されます。

マスターマネー側でカテゴリーを指定する

_マスターマネーはOFXファイルの取り込み機能もありますが評点は25であり、他のOFX取り込み対応の家計簿ソフトよりは優秀ですが…OFXでなければ取り込めない場合以外はCSVファイルを選択すべきでしょう。

(2)マスターマネーからのエクスポート

_マスターマネーはエクスポートの面でも極めて優秀です。マスターマネーは強力な絞り込み機能↓があり、その結果をそのまんまCSVファイルとして出力できるためです。機能のレベルと操作性が絶妙にバランスしており、他のPC家計簿ソフトを凌駕しています。筆者がマスターマネーを友と呼ぶ所以です。

マスターマネーの検索機能の操作

_ただし、マスターマネーのグラフ機能は残念の極地でありまして…この点を補完するにはマイクロソフトマネーと併用せざるを得ないと思います。全ての面において優秀な家計簿ソフトには未だ巡り会えずにいるのが現状です。強いて言えば「がまぐち君」なのですが、多機能すぎて、あの独特の操作系を友と呼ぶには難があります…。


_なお、高解像度ディスプレイでマイクロソフトマネーおよびマスターマネーを活用する方法については、2020/07/25「マイクロソフトマネー、マスターマネー等のPC家計簿ソフトを高解像度ディスプレイで活用する」を参照して下さい。


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