2020/09/24

「貯まる家計簿」のクレジットカード・デビットカードに関する動作を研究する

_「貯まる家計簿」連載2回目(前回の記事はこちら)は、クレジットカード・デビットカードに関する機能を解説します。「かけ~ぼ」と同じく、かなり複雑なので判りにくいかもしれませんが、ここを理解していないとこの家計簿アプリを使いこなすことはできないでしょう。

4.クレジットカード・デビットカードの設定

(1)クレジットカードの設定

_また、前回解説した資産の設定画面↓において、【クレジット・デビット設定】をタップすると、クレジットカードの設定画面では、締め日・決済日(引落日のこと※)、引落口座、引落しを記帳する際の費目 を設定します↓。

クレジットカードの設定画面

_また、利用額を総資産額に反映させるタイミング(利用日にするか、入金日/出金日にするか)を選択しなければなりません。これについては、公式マニュアルの記載はこうなっていますが、

貯まる家計簿の公式マニュアルの記載

_どうも↑の動作は、実際のアプリでは反対になっておりまして、↓の動作が正しいようです。

  • 支出を「利用日」に総資産額に反映させる
    • その資産(クレジットカード)は、総資産から除外=OFF 、つまり 総資産に含まれる と自動設定されます。
    • 引落しを記帳する際の費目は、総資産から除外=ON 、つまり総資産に含まれない と自動設定されます。
  • 支出を「入金日/出金日」(銀行からの引落日のこと)に総資産額に反映させる
    • その資産(クレジットカード)は、総資産から除外=ON 、つまり 総資産に含まれない と自動設定されます。
    • 引落しを記帳する際の費目は、総資産から除外=OFF 、つまり 総資産に含まれる と自動設定されます。

_ただし、クレジットカードを複数持っている場合に、

  • 支出を「利用日」に総資産に反映させるカード
  • 支出を「引落日」に総資産に反映させるカード

_の両方を設定して「引落しを記帳する際の費目」(すなわち"クレジット引落し")を共用するのは、この後の残高の計算がメチャクチャになるので絶対にやってはいけません。それぞれ別の費目(例えば”クレジットA引落し"と"クレジットB引落し"のように)を作って設定してください。

(2)デビットカードの設定

_デビットカード、というものを明示的に設定させる家計簿アプリは初めてお目にかかります。他の家計簿アプリなら、フツーに銀行口座からの直接の支出として記帳するだけのことですからね…。ただし、銀行口座からの直接の引き落としと、デビットカードの利用を区別するにはこの機能は有用でしょう。

_設定するのは 引き落としの口座 と、引き落としを記帳する際の費目 です。

デビットカードの設定画面

_また、公式マニュアルには記載がありませんが、

  • デビットカードは、総資産から除外=ON、つまり総資産に含まれない と自動設定されます(↑の画面もそうなっています)
  • 引落しを記帳する際の費目は、総資産から除外=OFF、つまり総資産に含まれる と自動設定されます。

_…このように取り扱われます。さらに重要なのが「引落しを記帳する際の費目」でして…これは↑の画面のように"デビット引落し"という専用の費目を作らなければなりません("クレジット引落し"を共用すると必ず不幸が訪れます)。これはどこにも解説されていませんが、非常に重要ですのでご留意ください。

_というわけで、クレジットカードを「利用日反映」とした際の引落し用支出費目"クレジット引落し"、さらにデビットカード引落し用の支出費目"デビット引落し"の設定状況を確認しますと↓のようになります。

引落し用費目の設定状況

5.クレジットカード・デビットカードに関する動作について

_さて「貯まる家計簿」の動作を見てみましょう。まず、データが何も入っていないまっさらな状態で、↓のようなデータを入力したとします。

テスト用データの入力例

  • 9/1:銀行に200,000円の収入
  • 9/10:クレジットカードでSuicaに10,000円チャージ(資産移動)
  • 9/11:Suicaで5,000円の支出
  • 9/12:クレジットカードで20,000円の支出
  • 9/13:デビットカードで3,000円+1,000円の支出

_なお、クレジットカードは毎月15日締めで翌月4日に銀行から引落し(引落し日が休日であれば後ずらし)、利用額の総資産への反映タイミングは「利用日」、銀行からの引落しの費目は"クレジット引落し”と設定した、とします(↑↑の画面の設定です)。デビットカードも、銀行からの即日引落しということになります。よって、上記のデータから

  • 10/5:銀行からクレジットカードの利用額30,000円が引き落とされる

_という取引が発生します(これはユーザーの入力によらず自動的に計上されます)

_この一連の取引データを"総資産額のカレンダー画面"で確認すると↓のようになります。9/10のクレジットカードによるSuicaへのチャージ(青枠)と、10/5のクレジットカード利用額の銀行引落し(青枠)は表示されていません。

_↓の9月末の残高を確認すると、銀行は200,000円からデビットカードで4,000円の支出がありますから196,000円の残高でOK。また、9月のうちにはSuicaで5,000円、クレジットカードで20,000円の支出もあり、これらの支出はすべて利用日には総資産額に反映される設定ですから、総資産額は171,000円でOKです。

_しかし、10月末の残高は、銀行は10/5に30,000円引き落とされているはずなのに、残高は196,000円で9月末と変わっていないのです。これはしっくりこない動作ですね…。ちなみに、画面は省略しますが11月末の残高は166,000円になっています。

クレジットカードを利用日反映としている場合の残高推移

_ここでクレジットカードの利用額の総資産への反映タイミングを「入金日/出金日」すなわち引落し日に切り換えます↓。クレジットカードは総資産から除外されるようになります。

クレジットカードの設定を「入金日・出金日」反映に変更する

_この場合の9月・10月の残高を確認すると↓…9月末時点の総資産額は201,000円になっています。9月の収入は9/1の200,000円しか無いのに… しかし、9/10にクレジットカードでSuicaに10,000円チャージした時点で、総資産額は210,000円(バランスシート的には別に10,000円の負債があります)になっており、そこからSuicaで5,000円、デビットカードで4,000円の即日決済の支出をしているためこのようになるのです。もちろん、9/12のクレジットカードでの20,000円の支出は、総資産額には反映されない設定ですから"総資産額のカレンダー画面"では表示されません。

クレジットカードを引落日反映としている場合の残高推移

_↑そして、10/5に銀行からクレジットカードの利用(Suicaチャージ10,000円+買い物20,000円)分が引き落とされます。その結果、銀行の10月末の残高は166,000円になります。

_このように、クレジットカードの利用額の反映日を"利用日"にするか"引落日"にするかは、総資産額や個別資産の残高の認識に大きな影響を与えます。しかし、ややこしい話であります。

_そこで…第三の選択肢として、クレジットカードを、クレジットカードとしては設定せずに現金や銀行口座と同じような資産として設定することが考えられます。そのようにすると、当然ながらカードの利用額と銀行からの引落し額の紐付けができず、ユーザーが逐一管理しなければなりませんし、引落しの取引もユーザーが手入力することになります。どのようにすべきか、ユーザー各位の考え方により適用してください。

6.クレジットカード・デビットカードの引落し額の確認方法

_ちなみに、クレジットカードの引落し額は、↓のような手順で確認できます。

銀行からのクレジットカードの引落しに関する取引情報

_デビットカードの場合は↓のようになります。同日に複数の利用があった場合でも、銀行口座からの引落しはその日の利用の総額で1回で引き落とされる、という前提の計上になっています。月次引落しのデビットカードには対応していません。

デビットカードの引落しに関する取引情報

次回は、「貯まる家計簿」から出力したデータを他の家計簿アプリ向けに変換する方法を解説します→

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