2022/03/13

レシーピ!をレポートする(後篇)

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6.予算・グラフ・集計機能

(1)予算機能

_レシーピ!の予算機能は【設定メニュー】>【毎月の予算の設定】で↓のように設定します。大抵の家計簿アプリは費目ごとに予算を設定するところ、レシーピ!は毎月に使えるお金の総額のみを設定します。かなり大雑把ですが、レシーピ!は家計簿の記帳を続けられるようにすることを狙ったアプリですから、精緻な機能を備える必要性は薄く、このような造りで十分とも言えます。ただし、後述のように、予算機能の動作そのものは極めて特異です。

レシーピ!の予算設定

(2)収支管理機能

_レシーピ!のホーム画面下部にある【グラフ集計】ボタンを叩くと、↓の左の画面のようにグラフ集計メニューに遷移します。最もよく使う収支グラフ機能は…予算として設定した金額が、月初めとして設定した日付(↓の場合は1日)に収入として計上される、というなんとも奇怪な動作をします。これをどのように解釈してよいのか筆者にはよく判らないので、こういう機能だ、とのみ申し上げておきます。

レシーピ!の収支グラフ機能

(3)円グラフ機能

_費目別内訳、お店ごとの買い物金額、お店ごとの買い物回数についてそれぞれ円グラフ表示をしたところです。レシーピ!では支出を「お店」という単位で把握することを重視しており、データ入力時にお店の名前がブレないように心がけないとこういったグラフが役に立たなくなりますので注意しなければなりません。

レシーピ!の円グラフ機能

(3)詳細集計機能

_いわゆる月次推移グラフを表示する機能で、品目・費目・店舗ごとに月間取引額がどのように推移してきたのかを縦棒グラフで表示します。集計期間を「全て」に設定した場合は、2012年4月まで溯ることができます。

_これは他の家計簿アプリには無い「レシーピ!」の特徴的な機能です。しかし、品目集計・店舗集計では、これまでにユーザーが入力してきた品目・店舗名をリストから選択するUIになっておらず、検索文字列を手入力しなければならないのです。Dr.Walletには存在する機能なので、ぜひレシーピ!にも実装してほしいところです。

レシーピ!の詳細集計機能

(4)貯金バコ機能

_目標(金額と期限)を定めた貯金枠を設定する機能です。類似の機能はOsidOriMoneyProにもありますが、レシーピ!が最も動作が判りやすく、優れているように思います。ただし、枠は1つしか設定できません。

レシーピ!の貯金バコ機能

(5)別財布収支・クレジットカード情報機能

_以前の記事で申し上げましたが、レシーピ!は初期状態で「お財布」と名前が付いていた口座がメイン口座となり、この口座のみで月間の収支管理をするのが基本的な使い方です。しかし、それでは機能的に不十分であるため、それ以外の全口座を対象とした月間収支管理ができるのが⑦の画面です。「2021/3」と表示されているのは、2021年3月のことではなく、2021年度の3月度すなわち2022年3月を示しています。また、この画面の下にある【帳尻合わせ】機能はいわゆる残高調整調整とは異なり、各口座の月間の収支について、レシーピ!上の金額と実態を整合させるというものになっています。はっきり言って、筆者にはこの機能の意図が理解できませんでしたので使わない方が良いでしょう。

 クレジットカードの利用額と引落し時期・金額を表示するのが⑧の画面です。⑦の画面で「21その筋銀行」で支出10,000円が記帳されているのは、2022/03/05に「52クレジットカード」で電子マネーのチャージに10,000を使用したのを記帳してあるからです。以前の記事で、筆者は「52クレジットカード」の引落し元の銀行を「21その筋銀行」を指定し、さらにカード利用金額を(引落し日ではなく)利用日に設定してあるので、「21その筋銀行」の3月までの残高1,355,013円はこの10,000円分がすでに差し引かれたものとして表示されています。

_しかし、実際にはこの10,000円は⑧の画面で2022/04/04に引き落とされることになっていますから、2022/03/31における「21その筋銀行」の残高は本当は(他に取引が発生しなければ)1,365,013円になるはずです。こういった動作になることを理解しておかないと、実際の口座残高とレシーピ!上の残高がどうして不一致となるのか、謎を解くのに苦労することになるでしょう。

レシーピ!の収支・クレジットカード情報画面

7.バックアップ機能

_当Blog的に最も注目していたところです。バックアップファイルをメール送付でスマートフォンの外へ持ち出す機能となっており、パスワードをかけて個人情報を保護しています。ファイル名はRECEIPE_YYYYMMDDHHMMSS.rece といった具合に、出力した日付・時刻に基づて命名されます。ファイルそのものは独自形式らしく、パソコンでは開けない、とチュートリアルにしっかり書いてあります↓。よって、この機能を活用してレシーピ!のデータを他の家計簿アプリとやりとりすることは不可能です。残念!

レシーピ!引き継ぎ・バックアップ機能

8.レシーピ!に関する総評

_データ入力手段としてはレシート読み取り機能があり、テストした数は少ないですが使えるレベルにあると言えそうです。手入力する場面でのユーザーインタフェースは手数が多く、流れるように操作できずイラつく場面があります。

_データを外部へ持ち出す手段が提供されていないのは極めて残念ではあるものの、全機能が無料提供されている現状では、CSV出力機能を実装するのは難しいでしょう。なぜなら、Dr.Walletの無料機能(レシートの総額のみがオペレータにより手入力される。CSV出力機能無し)をぶっちぎりで上回ってしまうからです。

_ここまで調べてみて、BearTail.Xがレシーピ!を事業承継した理由が見えてきたような気がします。レシーピ!のレシート読み取り機能がDr.Walletと競合するなら、いっそのこと自分の陣営に取り込んでしまえ、という意図なのでしょう。となると、Dr.Walletとレシーピ!のサービス統合はどうなるか…?

_どちらも旧来のユーザーが居ることを考えると、アプリの仕様を単純にユーザー数の多い方に寄せるというわけにはいきません。継続性が重要な家計簿アプリで、サービスを激変させるとユーザーの猛反発を食うことになるからです例えばこちらの例。また、Dr.Walletにもある。こいつはなかなかの難問だ…。

_また、レシーピ!は月間での収支管理を重視するあまり、他の家計簿アプリとは明らかに異なる仕様となっているところがどうしても気になります。サービスを統合するなら、Dr.Walletの「奇怪な仕様の少ない」方向性に寄せて行ってくれればいいですね。なお、レシーピ!は「明らかに不具合」と思われるようなところは見られず、画面デザインはDr.Walletをはるかに凌駕しているので、完成度についてはレシーピ!のレベルを継承してほしいものです。


_今回の記事で、レシーピ!の試用レポートは終了です。次は何を狙うかな…

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