2020/12/30

OsidOriでパートナーと情報を共有した場合の動作(修正あり)

_OsidOriの試用レポート連載第4回(前回の記事はこちら)は、いよいよこのアプリの核心たる「パートナーとの家計・資産情報共有機能」を解説します。多少複雑な話になりますが、しばしお付き合いありたく。

1.口座の残高と明細を共有する

_連載初回の2020/12/27「夫婦の共有家計簿・貯金アプリ「OsidOri(オシドリ)」試用レポート(追記あり)」で解説しましたように、OsidOriでは、夫と妻がペアリングされると、家族画面に所属する口座は相互に残高・明細が開示されます。

_一旦家族画面に所属させた口座を個人画面に戻す(つまりパートナーへの開示を取り止める)ことはできません。そのため筆者は、口座を新規設定する操作は個人画面で行い、熟考したうえで家族画面に移行させることをお勧めしています。概念図に示すと↓のようになり、家族全体に関わる支出(公共料金や食費・家賃など)が発生する口座を家族画面に移す、というイメージです。

_夫からは、妻の個人画面に所属している口座は、通常、残高どころかその存在の把握すらできません。逆もまた然りです。

夫と妻の口座を情報共有した場合にそれぞれが把握できる口座の範囲

_ところが…2020/12/19のバージョンアップで新規に実装された「振替取引」を使うと、少々厄介なことが起きます。家族画面に所属している口座と、個人画面に所属している口座との間で振替取引を入力すると、個人口座の存在がパートナーにバレるのです。

夫と妻の口座を情報共有した場合にそれぞれが把握できる振替取引の範囲(修正版)

_【2021/08/04修正】:↑の図版は、銀行口座からクレジットカードへの引き落としが記帳できることになっていましたが、これはOsidOriでは記帳できないことが判明したため、図版を修正いたしました。クレジットカード引き落としは、銀行口座から「カード返済」という支出カテゴリーで記帳します。

_↑の図の「03現金ストック」→「02財布」、および、「24この筋銀行」→「23どの筋銀行」の振替取引がそれにあたります。前者について、実際のアプリの画面↓を示しますが、妻の個人口座である「02財布」の存在を夫が確認できています。しかも、夫はこの取引データの修正まで可能なのです(ただし、振替先を一度「02財布」から外してしまうと、再度「02財布」を選択することはできなくなります)

_…さて、こういう仕様って、どうなんでしょうね? 振替元である「03現金ストック」は夫婦で共同管理している口座だから、その口座に関係する取引情報は全て夫婦で共有すべき、という考え方であればこの動作は納得できますが…それでも、口座の名称ぐらいは隠すべきではないかと思いますね。

_OsidOriを十全に使いこなすには、アプリがこのように振る舞うことはよ~く理解しておかねばならないでしょう。ヘタするとヘソクリ口座の存在が相手にバレてケンカになるかもしれませんぞ。

_【追記】:運営側に問い合わせましたが、そういう仕様である、とのことです。

妻が自分の個人口座への振り替えたのが夫にバレる

2.個々の取引の情報を共有する

_OsidOriには、前段で述べたような「口座の残高・取引明細を個人画面に表示するか/家族画面に表示するか」を設定する機能の他、「個別の取引明細を個人画面に表示するか/家族画面に表示するか」を指定する機能もあります。これもまたかなり判りにくく、それでいて(調べた限りでは)どこにも解説されていないので、ここでお話ししておきます。

_話を簡単にするため、

  • 「01財布」:夫が個人で管理する現金口座。初期残高100,000円
  • 「03現金ストック」:夫婦で共有する現金口座。初期残高500,000円
  • 「02財布」:妻が個人で管理する現金口座。初期残高100,000円

_の3つの現金口座を設定したとします。

_その状態から、夫が↓のように取引データを入力し、

夫の支出

_さらに妻が↓のように取引データを入力しますと、

妻の支出

_夫と妻がそれぞれパートナーが行った取引をどのように把握できるのか、を図にしたものが↓になります。

夫・妻が支出をどのように把握できるか

_夫の側からは、妻の「習い事」の支払いは把握できず、妻の側からは夫の趣味・娯楽(本)の支払いは把握できません。一方、夫婦の共有口座である「03現金ストック」からの支払いは、夫の酒代も、妻が友達に贈るためのプレゼント代も、お互いに把握できます。

_また、夫の個人画面には、01財布・03現金ストックから自分のために支出した4,000円が表示されます(さらに「家族のために行った支出」を含めるように切り替えると、タクシー代3,500円が加算されて7,500円)。妻の個人画面も同様に支出は8,000円となります(同様に「家族のために行った支出」を含めると13,000円)

_さらに、家族ホームでは、夫の01財布と妻の02財布から家族のために支出した計8,500円が表示され、03現金ストックから夫・妻の個人向けに行った支出は含まれません。

_結果として、この夫婦が行った支出は、夫4,000円+家族8,500円+妻8,000円=計20,500円となります。

_これらのことをアプリ画面で確認したのが↓です。夫・妻の個人画面で、二人の顔が並んだアイコンをONにすると、それぞれが家族のために行った(家族画面に表示するように入力した)取引が合算されて表示されます。

_このあたりのアプリの振る舞いも、しっかり把握したうえで活用しましょう。

夫・家族・妻の画面で支出がどのように表示されるかを比較した

次回はOsidOriのもう一つの目玉、「目標貯金機能」を解説します→

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