2023/08/21

MoneyProのトランザクション(取引データ)をエクスポートして他の家計簿アプリ向けに変換する方法を改めて解説します

 前回の記事でMoneyProのV2.9.10に対応したMFFマクロV2.44を公開しました。今回は、それにより新仕様のMoneyProからエクスポートしたデータをMFF形式に変換する方法を解説します。

1.MoneyProからのエクスポート


 (参考)以前のMoneyProからエクスポートしたデータの変換については以下の記事を参照


 今回サンプルとするデータは↓のとおりで、MoneyProの特徴である支出・収入・振り込み(振替取引のこと)・資産購入・資産売却・取得負債(いわゆる借金)・完済負債(いわゆる借金返済)の各種の取引種別を網羅しています。①の開始残高は、MFFマクロでは無視します(後述)。

MoneyProの残高画面の取引一覧

 それぞれの取引種別については、

 を参照して下さい。今回は↓の画面例のようにデータを入力しています。

MoneyProに入力した取引データの例

 これら取引データは、MoneyProのレポート機能のうち「トランザクション」の画面から【保存】します↓。このあたりも以前のMoneyProとは微妙に異なっています。

MoneyProから取引データをエクスポートする

 エクスポートしたデータは、デフォルトでは"Money Pro トランザクション - YYYY_MM_DD_hh_mm_ss.csv"というファイル名になります。ただし、hh_mm_ssの部分はどういうわけか12時間制になっているらしい…。なお、ファイルのエンコードはUTF-8(BOM付)で、改行コードはCR+LF、データセパレータはセミコロンで、以前と変わっていません。

MoneyProから出力したエクスポートデータを保存する

2.MFFマクロによるデータ読み込みと変換

 このファイルを、MFFマクロ(V2.44以降)で読み込みます(保存されたCSVファイルをExcelで開いても、文字化けこそしませんが、データ変換はできません)。空のワークシート上でMFFマクロを動作させ、出現したダイアログで、先ほど保存したファイルを指定する↓と…

MoneyProからエクスポートしたデータをMFFマクロで読み込む

 MFFマクロがファイルの中身をこのワークシート上に展開します↓。

 ここで注意していただきたいのは、5行目のカテゴリーが"食費: 酒,食費: 菓子・飲料"と複数入っている点。これは、前述した入力画面例の②のように、複数のカテゴリーを含んでいる取引データの内訳を入力する機能を活用したものです(酒が1000円、菓子・飲料が1500円)。しかし、その内訳に関する情報はエクスポートの際には失われてしまいますこれもかなり残念なMoneyProの仕様ので、MFFマクロでは先頭の"食費: 酒"だけを認識し金額を計2500円とするようにしています。

 もう一つ、6行目のカテゴリー欄ですが…"利子・配当など: 利子・配当など/配当"となっているのは、MoneyPro側で第二階層のカテゴリー名称を"利子・配当など/配当"と設定しているためです。これは、以前のMoneyProの動作仕様に対応するため当Blogで皆さんにお奨めしていた設定方法ですが、MFFマクロでは"利子・配当など: 利子・配当など/配当"の紫の部分を削除し、残った部分を費目甲・費目乙に分解して入れます。

MFFマクロで読み込んだデータをMFF形式に変換する

 ↑のMoneyProからのデータを展開した状態でMFFマクロを動作させると、MFF形式へのデータ変換が行われます↓。L列の丸数字は、前述の入力画面例の丸数字に対応していることを判りやすく示したもので、本来のデータには含まれません。また、「トランザクションの種類」が"開始残高"になっている取引データは削除されています。

MFF形式に変換完了

3.MFFマクロV2.44以降のデータ変換処理のチャート

 以前のMoneyProは、2020/05/30 MoneyProのデータを他の家計簿アプリへエクスポートする(後篇) で触れておりますように、資産購入・資産売却・取得負債・完済負債の4種類の取引を振替取引として解釈できる形でエクスポートデータに含めておりました。しかし、現在のMoneyProは、振替取引と解釈するために必要な情報が確実に含まれるわけではありません。その情報は、↓のチャートや前述のサンプルデータのように、振込先口座欄に、取引の相手先となる「その他資産」あるいは「その他負債」の口座名として入るのですが、この「振込先口座」欄は、エクスポートしたデータの中に、別に振り込み取引が含まれていなければ出現しないのです。

 そのため、MFFマクロV2.44では、この4種類の取引は、支出あるいは収入取引として変換するように動作を変更しました。この4つの取引種別を使うのは決してお奨めできません。

MP2MFF動作チャート(支出系)

MP2MFF動作チャート(収入系)

 また、MoneyProは、振り込み取引において、振替元口座からの出金額と、振替先口座への入金額が異なるという奇怪な入力ができるようになっています(振込手数料を考慮した機能らしい)。MFFマクロV2.43まではこのような場合でも、振替額=出金額となるように変換しておりましたが、MFFマクロの都合で本来存在するはずの情報を欠落させるのは不詳なので、V2.44では↓のように差額をメモ欄に追記してユーザーに警告するようにしました。

MP2MFF動作チャート(振り込み)

 最近のMoneyProの仕様変更には、正直言って大いに悩まされております。良い方向には走っているものの、ちょっと仕様検討が中途半端なまま実装しているような感があるのですね…もしかするとまたまた動作が変わるかもしれません。その際は、今回と同様に「筆者が気がついたら」対応することになります(つまり、筆者が気づかなければいつまでもそのまま)。読者の皆様からも積極的に情報をいただければ有難く存じます。

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