2021/08/02

OsidOriの精算管理機能の不可思議な動作を追う(追記あり)

_前回に続くOsidOri新機能の解説第二弾は、「わたし」と「パートナー」との間での割り勘や傾斜配分のやりとりを支援する「精算管理機能」(2021年5月26日リリース)をお届けします。コイツも一筋縄ではいかないですよ…

1.まずはフツーに取引明細を入力する

_↓の画面例のように、その筋亭というお店で夫婦二人でラーメンを食べて、「わたし」(妻)が1,600円払った、という取引明細をを入力してみます。このとき、画面最下段にある【未清算リストに入れる】をONにします。この取引を表示する画面は個人画面でも家族画面でも構いませんが、ここでは【個人画面】を選択しています。

まずはフツーに取引明細を入力するが、未清算リストに入れるようにする

_入力後、↓のように精算管理機能を呼び出します。

精算管理機能を呼び出す

_上部のタブで【未清算リスト】を選択すると、先ほど入力した取引明細データがリストアップされていますのでタップします↓。

未清算リストから精算処理をする明細をタップする

_先ほど入力したデータが再び表示されますが、画面最下段に【精算する】ボタンが追加されていますのでタップします↓。

OsidOriの精算機能を使う

_1,600円を「わたし」と「パートナー」でどのように負担するかを指定します↓。デフォルトでは折半ということになっていますが、7:3や6:4のように傾斜配分することもできますし、例えば「わたし」は700円、「パートナー」は900円という具合に金額を直接入力することもできます。画面最下段の【精算する】ボタンを叩くと…

OsidOriの精算機能を使う2

_↓のように、「実際のお金のやり取りはユーザー間でちゃんとやれよ」という意味のダイアログが出現します。実は、ユーザーがやらねばならないことは、これだけじゃないんですけどね。

OsidOriで精算を行っても特に何も起きない

_ところで、ここまでの操作を見ていると、取引明細を入力してから別途に精算管理機能>未清算リストを呼び出す、という迂遠なやり方になっているのが気になります。これは「精算という面倒臭い行為は後回しにしたいわけだから、ユーザーは後で未清算リストを見てまとめて精算するだろう」という開発元の考え方によるものらしいです(だから複数の精算をまとめて行う機能もある)。が、やはり取引明細の入力直後に精算機能に移行できるようになっていれば便利でしょうね。

2.むしろ大事なのは精算後の処理

_↑の画面で【OK】を叩くと精算処理はあっさり終わります。その後、【精算済みリスト】を見ると、店名=その筋亭の800円の取引が表示されています。これは「わたし」がパートナーの分も支払ったから、パートナーから「わたし」に800円支払ってもらうべきである、ということを示しています。

_しかし、逆に、例として「パートナーに500円支払わなければならない」という精算済みデータを入力しても、ここに計上される金額にはマイナスは付きません。すなわち、「精算済みリスト」には、これから移動が発生する金額が表示されるので、「わたし」と「パートナー」では(支払額が折半でない場合でも)全く同じ画面になります。

精算済リストを確認すると800円が記録されている

_では、この取引と精算の結果、OsidOriの中ではどういうことが起こっているのか…という点を見てみましょう。

_まず、「わたし」が"その筋亭"への支払に使った"02財布"という現金口座ですが…その取引履歴↓を見てみると、残高計算は1,600円の支出があった、として行われています。これは、ある意味で当然のことですね。なぜなら、「パートナー」たる夫から「わたし」たる妻への精算は、「夫の何らかの現金口座」→「妻の02財布」の800円の振替で行われるとは限らないからです。

1600円が精算済になっても収支は1600円支出のまま

_次に、今回支出した「食費/外食」というカテゴリーの計上額は、と言いますと…

_今回、「その筋亭」に1,600円支払ったのは「わたし」たる妻の個人画面に表示するように入力しておりますので、「わたし」の個人のカテゴリー別の集計額を見てみましょう↓。

収支管理を見ても精算した1600円の支出はそのまま計上されている

_1,600円がそのまま計上されている…。「わたし」たる妻としては外食費は800円しか使っておらず、夫の800円は本当は夫側の外食費に計上されるべきなんですが、OsidOriの動作はこのようになります。

_また、夫から妻に支払われるべき800円の取り扱いも、中途半端になっていますね。

_この後、ユーザーは、800円のお金の精算を果たした後、OsidOri上ではどのようにすべきなのでしょうか?

  • 【案1】夫から妻に何らかの形で800円の振替取引を入力する
    →夫・妻がそれぞれに費消した外食費は正しく計上されないが、二人の資産残高は正しく計上される
  • 【案2】この取引明細を一旦削除して、夫800円+妻800円の外食費の取引明細を入力し直す
    →二人がそれぞれに費消した外食費も、二人の資産残高も正しく計上されるが、手間がかかる
  • 【案3】何もしない
    →二人がそれぞれに費消した外食費も、二人の資産残高も正しく計上されないままになる

_こうしてみると、案1がそこそこよさそうな対応ではあります。しかし、このあたりの処置の仕方は、OsidOriの公式ヘルプにも見当たりません。実態としては、精算管理機能は多機能な電卓以上のものではない、という状況です。

3.(追記)代行入力機能と精算管理機能は併用しない方がいい

_ここまでの解説で触れていませんでしたが、精算管理機能を適用した(=精算済にした)取引明細データは、表示する画面や、支払元の口座にロックがかかって変更できなくなります。

_そして…思い出して下さい。前回の記事で解説した代行入力機能は、パートナーが支払うべき「わたし」が代行して取引明細を入力する際、支払元の口座が強制的に「現金」にされ、それを後にパートナー側で修正する、という使い方でしたね。

_ということは…代行入力で入力した取引明細に、さらに精算管理機能を適用する(実はこれは可能なのです)と…その取引明細の支払元口座が「現金」から変更できなくなるのです。そのため、代行入力をしてもらったパートナーの口座の残高管理がおかしくなります。これを解消するには、一度行った精算を解除して、精算管理機能を使わずに取引明細データを入れなおすしか無いでしょう。

_さて…こういう事態を開発元は想定していたでしょうかね…? 代行入力も精算管理も「わたし」と「パートナー」との間のお金のやり取りが密接に絡んでくる機能ですから、「後で精算しなければならない取引データをパートナーに成り代わって『わたし』が入力しておく」というのは、ありがちなシチュエーションではあろうと思うのです。しかし、実際には機能設計が少々整合していない場面もあるわけです。

_OsidOriは、たった二人の間のことではありますが、お互いのプライバシーを尊重しつつ、オープンにすべき情報は開示し、金銭のやり取りを管理するという壮大な挑戦をするアプリです。この後も「あれ~?」という動作をする場面に出会うことになるのですが、設計が洗練されていくのを生暖かく見守っていきましょう。


次回はいよいよOsidOriのデータダウンロード機能に触れる予定です→

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