2021/11/09

GnuCashにデータを入力する方法(通常取引篇)

←前回の記事:2021/11/07 GnuCashの動作設定

_GnuCashに最初に触れるユーザーは、まず「どうやってデータを入力すればいいんだろう」と途方に暮れるところでしょう。他の家計簿アプリと異なり、GnuCashは普段の操作においても、常に複式簿記を強烈に意識しなければならないからです。今回は、GnuCashのデータ入力UIのうち、借方・貸方が1対1で対応する「通常取引」(これは筆者の勝手な造語ですが)について解説します。2021/10/31の記事で触れた「スプリット取引」については次回の予定です。

1.まず収入取引を入力してみる

_GnuCashの操作は、↓の【勘定科目タブ】から、操作対象とする勘定科目をダブルクリックして入力画面に移行する、というのが基本になります。すなわち、取引に使用した口座をベースに入力するか、取引の結果として生じた費目をベースに入力するか、どちらの方法でも同じ結果になります。ここでは、親しみやすい前者の手順で入力してみましょう。まず、「23あの筋銀行」の、赤枠で囲った部分をダブルクリックします↓。

23あの筋銀行の名称または残高欄をダブルクリックする

_「23あの筋銀行」のタブが新たに出現します↓。この段階ではGnuCashに何もデータを入力していないので、取引データは何者も存在していません。まずは取引日を指定するわけですが、この日付選択用のUIが小さくて入力しにくいこと甚だしいものがあります。

23あの筋銀行の入力画面

_取引日として2021/10/01を指定し、説明欄に、取引に関する情報を 内容@店名※メモ のいわゆるMFF書式で入力します。後に、このデータをMFFマクロでMFF形式データに変換した際に、それぞれの中身が然るべきデータ欄に分解されて格納されます。

_そして【資金移動】欄で、現在入力中の「23あの筋銀行」との資金移動を行う相手先の勘定科目を指定します↓。このときのプルダウンメニューは、GnuCashに設定済の全ての勘定科目名(口座名・費目名)が全て一覧で表示されるので、あまり多くの口座や費目を設定していると選択操作がかなりウザったいものになります。

_例えば、マネーフォワードMEであれば費目の選択は二段式のプルダウンメニューで行っているところでありまして…残念ながら、GnuCashの入力UIはユーザーフレンドリーとは到底言えません。もちろん、階層を(常識の範囲内で)無制限に作れるが故の仕様なのでしょうが…

資金移動欄に勘定科目を入力する

_そして、複式簿記に慣れていないユーザーが必ず悩むのが、金額を借方と貸方のどちらに入力するか、です。この例では、宝くじの賞金100,000円(費目は「その他収入」)を「23あの筋銀行」に入金しようとしています。GnuCashでは、この取引において、入力中の「23あの筋銀行」が借方になるのか貸方になるのか、に応じて入力欄を使い分けなければなりません。つまり、この場合は「その他収入」が貸方、「23あの筋銀行」が借方ですから、借方欄に100,000円を入力することになります↓。

収入の場合は収益の勘定科目を選択して借方欄に金額を入力する

_↑の画面でEnterキーを叩くと入力したデータが確定し、次の行にデータを入力できるようになります↓。GnuCashでは、データ欄の移動はEnterキーではなくTabキーを使うクセを付けて下さい。これは、後のスプリット取引の入力の際には非常に重要になります。

_なお、「23あの筋銀行」の貸借残高は、この取引の入力が確定したことで0円から100,000円になりました。

確定させると入力行が次に移る

2.支出取引を入力する

_ここからはだんだん解説を飛ばしていきます。まず、↓の例は2021/10/07に「23あの筋銀行」からのガス代4,000円が引き落とされたという支出取引を入力したものです。今度は「23あの筋銀行」が貸方になるので、4,000円は貸方欄に入力しています。

_なお、画面例は省略しますが、クレジットカード(つまり「負債」の勘定科目となる口座)による支出でも入力法は同じです。

あの筋銀行からの支払は費用の勘定科目を選択し貸方欄に金額を入力する

3.振替取引を入力する

_GnuCashには、口座から口座への振替取引に対して、他の家計簿アプリのような特別な入力UIがありません。【資金移動】欄で振替の相手となる勘定科目の中から、該当する口座名を選択して借方/貸方を過たずに入力すればそれで完了。↓の例は「23あの筋銀行」から「55あの筋カード」への引落しを入力したところです。入力主体となる「23あの筋銀行」が貸方になるため金額は貸方欄に入力しています。

クレジットカードの引落しは、資金移動先をクレジットカードとして貸方に金額を入れる

_というわけで、GnuCashに、他の家計簿アプリと同等のデータを入力できるようにはなりました。しかし、GnuCashの真の戦闘力はいわゆる複合仕訳を可能とするスプリット入力機能にあります。次回の解説をお楽しみに。→

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