←前回の記事:2021/11/04 GnuCashをセットアップする
_今回は、GnuCashを活用するうえでの最重要事項である「勘定科目」について解説します。
1.勘定科目と勘定科目タイプ
_GnuCashには資産・負債・純資産・収益・費用の5種類の勘定科目があり、その下に12種類の「勘定科目タイプ」があります↓。勘定科目タイプとは…例えば、"資産”の部に「その筋株式会社売掛金」という勘定科目を作って、それに「売掛金」と勘定科目タイプを設定すると、GnuCashの「売掛金」に関する機能の動作対象としてこの勘定科目が選択されるようになる、という一種のフラグのようなものと考えてください。ですから、この「勘定科目タイプ」の設定を間違えるとGnuCashはユーザーの意図どおりの動作ができません。
また、これらとは別に「複数の通貨・商品を含む取引のために」ということで"通貨取引"という特殊な勘定科目タイプが用意されています。普通に家計簿として使う分には気にしなくて良いでしょう。
- 資産勘定科目
- 銀行
- 現金
- 株式
- 投資信託
- 売掛金
- 資産
- 負債勘定科目
- クレジットカード
- 負債
- 買掛金
- 純資産勘定科目
- 純資産
- 収益勘定科目
- 収益
- 費用勘定科目
- 費用
2.勘定科目をどうやって構成するのか
_GnuCashは、新規に帳簿を作成する際に、標準的に準備されている勘定科目集↓から、自分に必要な科目を選択して組み立てるようになっています。もちろん、これは後でユーザーが自由に編集できます。
_通常は「共通勘定科目集」と、ユーザーが個々に必要とする勘定科目集を組み合わせるわけですが…当然これらはアメリカの小規模事業主がモデルになっているので、我が国の家計管理に使うには大きな違和感がありまして…ゼロから自分で組み立てた方が早いでしょうね。
_なお、↑の表で勘定科目を構成すると、全ての勘定科目は以下の5つの"部"の下に階層的に配置されます。ユーザーは、この「部」の名称も変更できますが(例えば"資産"を"財産"に変えても良い)、MFFマクロで他の家計簿アプリとのデータ連携を行うなら変更しないで下さい。この"部"の名称は、GnuCashから出力されるCSVファイルにも含まれており、MFFマクロはそれを元にして、勘定科目が「口座名」なのか「費目」なのかを区別するためです。
- ”資産”の部:財布の名称や銀行口座名
- ”負債”の部:ローン口座やクレジットカードの名称
- ”収益” の部:家計に流入してくるお金の名目
- ”費用”の部:家計から流出するお金の使途
- ”純資産”の部:口座の初期残高を設定するために使用される。MFFマクロではデータ変換の対象外
3.勘定科目を追加する
_さて、セットアップした勘定科目は、ユーザーの事情に応じてカスタマイズしなければ使い物になりません。そこで、まず"資産"の部に現金資産を一つ新設してみましょう↓。
_資産:現金:01財布という資産を設定しています。ダイアログの左下の【勘定科目タイプ】を適切に選択することが重要↓。ここでは当然ながら「現金」を選択します。
_さらに、開始残高を設定します。GnuCashでは、開始残高は
- その日付にはその金額がすでにあった
- その日付で既存の資産(または負債)から資金移動させて新たな資産を作った
_のどちらで設定するかを選びます。筆者は2006年度(2006/04/01~)からの家計簿データを持っているので、その開始日の前日=2006/03/31時点における01財布の残高31,121円を前者のように設定します。
_このように新規に資産を追加すると、開始残高が発生する日付で、純資産→01財布 31,123円の資金移動の取引データが記帳されます。これは、他の家計簿アプリには見られないGnuCashの特徴的な動作と言えます。
4.勘定科目の設定例
_筆者がGnuCashの解説のために設定した勘定科目の例を↓に示します。"費用"の部の第二階層以下は省略していますので悪しからず。なお、勘定科目は強制的に辞書順に並べられるので、使いにくいようであれば、(部名以外の)勘定科目の先頭に通し番号を入れれば意図どおりの順番になります。
次回はGnuCashの入力UIについて、を予定しています→