2025/04/29

「かけ~ぼ」V1.55以降にデータをインポートする方法(その4/4)

 これまで、「かけ~ぼ」V1.55以降にデータをインポートする方法について、その1/4・その2/4・その3/4 と連載してまいりました。今回は、MFFマクロ(V2.70以降)がどのようにデータ変換を行っているのか、を解説します。

13.振替取引

 当Blogでは、MFF形式データに関して、固定ページ:MFF形式とMFFマクロのデータ変換処理について で

6.口座に種別は無い

現金、電子マネー、ポイント、銀行口座、証券口座、クレジットカード、通販など、ありとあらゆる資産は全て口座として取り扱い、一切区別しません。よって、電子マネーで電子マネーをチャージする、といった通常は有り得ない取引も表現できます。

 このように述べております。一方、「かけ~ぼ」というアプリは、帳簿・デビットカード・クレジットカード・電子マネーを明確に区別します。この大きな違いを吸収するのがMFFマクロのMFF2KKB()というサブルーチンです。

 まず、帳簿・デビットカード・クレジットカード・電子マネーのそれぞれから帳簿にお金を振り返る取引からです。

 「かけ~ぼ」では、帳簿→帳簿の振替取引にのみ「帳簿間送金」という標準機能があります。しかし、デビットカード・クレジットカード・電子マネー→帳簿 の振替となると…「かけ~ぼ」はこの3種類のカード類はいずれも支出しか記帳できませんので、2025/04/26 「かけ~ぼ」V1.55以降にデータをインポートする方法について(その1/4)で費目に追加した「振替支出」・「振替収入」を活用して、カードからの支出を「振替支出」、帳簿への収入を「振替収入」として分割して記帳するように変換します。

MFF2KKBの動作チャートcase10-13 振替取引

14.電子マネーへのチャージ

 「かけ~ぼ」では、帳簿・デビットカード・クレジットカードから電子マネーへのチャージは普通に記帳できるほか、本来はありえない「電子マネーから電子マネーをチャージする」という取引も記帳可能です。MFFマクロもそれに準じて、↓のように変換処理を行います。

MFF2KKBの動作チャートcase14-17 電子マネーへのチャージ

15.収入取引

 「かけ~ぼ」では、帳簿への収入取引は素直に記述できますが、前述のとおり、デビットカード・クレジットカード・電子マネーへの収入取引(必然的に"返金取引"となるでしょう)は記帳できません。そこで、デビットカード・クレジットカードについては、負の金額の支出として記帳します(その際の費目は、後でユーザーが指定する。筆者としては「その他支出」を想定している)。電子マネーの場合は、適当な帳簿(ユーザーが後で指定する。筆者としては「91電子マネー用」を想定している)への収入取引を記帳し、その帳簿から電子マネーにチャージする、という具合に変換します。

MFF2KKBの動作チャートcase18-21 収入取引

16.支出取引

 最後に支出取引です。いずれも小細工はせず、「かけ~ぼ」の仕様どおりに記帳します。

MFF2KKBの動作チャートcase22-25 支出取引

 「かけ~ぼ」というアプリはとにかく振る舞いが非常に独特なので、MFFマクロでインポートした取引データが本当に正しく解釈されているのか? という点を確認するのにとんでもなく手間がかかりました。この手間に見合った成果をお届けできているか、お使いいただいた皆様からぜひフィードバックをいただけますと幸いです。

2025/04/28

「かけ~ぼ」V1.55以降にデータをインポートする方法(その3/4)

 今回の記事は、前回の続きで、ACF機能を活用して、MFF形式データの口座名・費目を「かけ~ぼ」に定義済みのものに整えたところから始まります。

9.MFFマクロ(V2.70以降)の第二回動作

 続いて、D1セルを「かけーぼ」に合わせた状態で今度は(ACF機能ではなく)MFFマクロを動作させると↓、

MFF形式データをかけ~ぼ形式に変換する

 バックアップファイルを格納しているフォルダを尋ねるダイアログが現れます(状況によっては現われないこともあります)↓。フォルダを指定すると↓↓、

かけ~ぼ関連ファイルのフォルダの指定

かけ~ぼ関連ファイルのフォルダの指定その2

 MFF形式データのワークシートの次に「かけーぼ」というワークシートが新設され、そこに「かけ~ぼ」のcashbook_all.csvの形式に変換したデータが展開されます↓。

かけ~ぼのcashbook_all_csv形式をワークシートに展開

10.cashbook_all.csvのデータ修正

  ただし、このデータ↑では、E列「費目名」とH列「帳簿コード」に「不定」という黄色のセルがあり、これが残っている状態ではcashbook._all.csvはまだ出力しません。

 「費目名」欄が黄色になるのは、「かけ~ぼ」では本来的に記帳できない「デビットカード、クレジットカードおよび電子マネーへの収入」取引です。MFFマクロV2.70以降ではこうした取引をマイナスの金額の支出に変換しようとします。その際に支出の費目として何を指定するか? とユーザーに問い合わせているわけです。ここでは、準備段階で費目として追加した「その他支出」を指定しています。

 また、「帳簿」欄が黄色になるのは、電子マネーを使用した取引です。前述のとおり、「かけ~ぼ」では電子マネーは特に特定の帳簿と紐づけるようにはなっていないので、電子マネーの取引を記帳するたびに、どの帳簿での取引であるのかを個別に指定しなければなりません。ただし、ここで指定する帳簿を、現金や銀行口座のように「厳密に残高管理を行う」資産にしてしまうと、電子マネーの取引を記帳するたびに、月間の収支と資産の残高が連動しなくなるという事態に陥ります。そこで、当Blogでは、「かけ~ぼ」に電子マネーの取引を投入する際には、電子マネーの取引を紐づけるための専用の帳簿を指定することを推奨します。画面例では、前回の記事で帳簿として設定した「91電子マネー用」を指定しています。

かけ~ぼデータで不定となっている費目・帳簿を指定する

11.cashbook_all.csvの出力

  これらの黄色のセルのデータを「不定」から修正を終えたら、MFFマクロを再度動作させます↓(第三回動作、ということになります)とcashbook_all.csvを出力するわけですが…、cashbook_all.csvは「バックアップデータ」なので、これを「かけ~ぼ」側で復元すると、このファイルの中身「だけ」がデータとして取り込まれてしまいます。

 そこで、MFFマクロV2.70以降では、↓の画面のダイアログで【はい】を選択すると、既存のcashbook_all.csvに、MFFマクロが変換したデータを追加するようにしています。【いいえ】を選択すると、MFFマクロが変換したデータがそのままcashbook_all.csvとして出力されます。

cashbook_all.csvを出力

 MFFマクロが出力したcashbook_all.csvの中身は↓のようになります。

MFFマクロが出力したcashbook_all.csvの中身

12.「かけ~ぼ」側でデータを復元する

 MFFマクロが出力したcashbook_all.csvは「Dropbox>アプリ>かけーぼ」フォルダ内にあるので、これを「Dropbox>アプリ>かけ~ぼ」フォルダ内に上書きコピーします。DropboxがPCとスマホのフォルダの同期を終えたら(1分ほど待てば終わる)、「かけ~ぼ」側でデータを復元します↓。

復元の手順

 かけ~ぼにインポートしたデータをカレンダー画面で確認すると↓のようになります(全ての帳簿の合計を表示する設定にします)

かけ~ぼにインポートしたデータをカレンダー画面で確認する

 これらの取引データを3/10~3/25の16日間分並べると↓のようになります。黒で表示されている取引データ(カレンダー画面では収入なら青文字、支出なら赤文字になる)は3月分の収支計算に反映され、グレーで表示されているデータ(カレンダー画面では薄赤文字になる)は反映されません。

かけ~ぼにインポートしたデータはこのようになる

 今回は、MFF形式データとしては2025年3月の取引をインポートしていますが、前述のとおり、「かけ~ぼ」では3月の「クレジットカードでの支出」に対応した4月・5月の銀行引き落としのデータも同時にインポートしなければならず、MFFマクロV2.70ではそのようなデータも同時にでっちあげるようにしています↓。

 5/2の53ペンペンカードの利用額引落しは、このカードの本来の引落し日5/4が休日であり、そのような場合には直前の平日にズラす設定になっているためです。5/7の52プリプリカードの利用額引落しは、このカードが休日(本来は5/4だった)の引き落とし日を直後の平日にズラす設定なっているために発生しています。

 これらの引き落とし日のズラし処理もMFFマクロが行ったものです。ただし、今年のGWはこのような処理で良いものの、前述のとおり、祝日の判定に使用しているsyukujitsu.csvには、一般的に祝日として取り扱われる三が日やお盆休みが含まれていないので、ズラし処理がクレジットカード会社や銀行の営業日と合わないことがあります。そのようなときは、「かけ~ぼ」の機能を活用して引落し日を手動で修正しなければなりません。

2025年3月のカードによる支出が4月5月にどう反映されるか

 これで、MFF形式データ→「かけ~ぼ」へのインポートは完了しました。次回の記事では、MFFマクロV2.70以降の、データ変換処理について解説します。

2025/04/27

「かけ~ぼ」V1.55以降にデータをインポートする方法(その2/4)

 今回は、前回の記事で、「かけ~ぼ」アプリ側で費目・帳簿・カードに関する必要な設定を終え、バックアップ機能でそれらのデータを所定のフォルダ内に格納した、という状況から始まります。

5.バックアップデータのコピー

 Dropboxフォルダ>アプリフォルダ>「かけ~ぼ」フォルダ内の全ファイルを、Dropboxフォルダ>アプリフォルダ>「かけーぼ」フォルダ(存在しなければ作成する)にコピーします。これは、「かけ~ぼ」というフォルダ名が、MFFマクロを動作させるときにエラーを起こすためです。

6.syukujitsu.csvを「かけーぼ」フォルダに入れる

 内閣府HPで配布されている、休日・祝日リストsyukujitsu.csvをダウンロードして、Dropboxフォルダ>アプリフォルダ>「かけーぼ」フォルダにコピーします。前回の記事で述べましたように、「かけ~ぼ」V1.55以降にデータをインポートするには、クレジットカードの利用額の引落し取引のデータをMFFマクロででっちあげなければなりませんが、その引落し日(=請求日)が休日・祝日であった場合に、請求日をその前後の平日にズラす処理が必要になります。その処理のためにこのファイルが必要になります。

 2025年3月時点のsyukujitsu.csvでは2026/11/23の勤労感謝の日まで登録されています。ただし、年末年始やお盆のように、法定祝日以外に、社会通念として祝日的に扱われている日は含まれていません。このデータを活用しても、請求日のズラし処理が誤っている危険性は残っているので、 「かけ~ぼ」にデータを投入した後はユーザーがしっかりチェックする必要があるでしょう。

7.「かけ~ぼ」にインポートしたいMFF形式データを用意する。

  今回のサンプルデータ↓は、2025/03/10~2025/03/25の16日間に、「かけ~ぼ」で考えられる計16種類の取引パターンを含んでいます(メモ欄を参照のこと)。ただし、口座名や費目は、「かけ~ぼ」に定義済のものとは合致させていません(注:費目を少々弄っており、クレジットカードの場合は先頭に★を付けている)

MFF形式データにACFを適用する

8.ACF機能により費目および口座名を「かけ~ぼ」に定義済のものに合わせる

 「かけ~ぼ」は、バックアップしたデータを復元する際、未定義の費目名や帳簿名・カード名が含まれていると、復元に失敗し、しかも復元する前にアプリ内に入っていたデータが全て失われるというとんでもない仕様になっています。そこで、必ずMFFマクロのACF機能を活用して、費目や口座名を定義済みのものに整えなければなりません↑。

 通常、ACF機能を活用する場合、ユーザーが、データ変換先の家計簿ソフト/アプリに設定済みの口座名や費目を定義した カテゴリーリスト というファイル(「かけ~ぼ」の場合は"かけーぼカテゴリーリスト.csv"になる)を事前に作成しておきます。

 しかし、「かけ~ぼ」の場合、前回の記事で述べた codeName.csv、card.csv、items.csv の情報からカテゴリーリストを自動的に作成できるのです。そこで、MFFマクロV2.70では、MFF形式データのD1セルのプルダウンメニューを「かけ~ぼ」に合わせてACF機能を動作させる↑と、バックアップファイルを格納しているフォルダをユーザーに問い合わせて、"かけーぼカテゴリーリスト.csv"を自動作成してからACFの初回動作を行うようにしています。

「かけ~ぼ」のバックアップファイルを格納しているフォルダを指定する

 前回の記事で「かけ~ぼ」の帳簿・カード・費目を設定した状態のバックアップデータから自動作成した"かけーぼカテゴリーリスト.csv"の中身が↓になります。

かけーぼカテゴリーリスト.csvの中身

 ACF機能を初回動作させると、↓のように、MFF形式データの中で、口座名と費目が「かけ~ぼ」に定義済みのものと異なっているセルが黄色になります。

ACFを初回動作させた直後のMFF形式ワークシート

 黄色のセルのプルダウンメニューを選択して、口座名と費目を整えていきます↓。なお、ACF機能の詳細についてはこちらの固定ページを参照して下さい

ACFで口座名とカテゴリーを整える

 口座名・費目を整えたら、A1セルにセルカーソルを合わせた状態でACF機能を動作させる「最終動作」を行います↓。

ACFを最終動作させる

 次回は「かけ~ぼ」にインポートするcashbook_all.csvを出力し、「かけ~ぼ」アプリ側に取り込む方法を解説します。

2025/04/26

「かけ~ぼ」V1.55以降にデータをインポートする方法(その1/4)

 長らくお待たせしました。MFFマクロV2.70以降を使って、Android家計簿アプリ「かけ~ぼ」の現バージョンにデータをインポートする方法を解説します。なお、「かけ~ぼ」の基本事項については 2020/06/01 誰も教えてくれない「かけ~ぼ」での家計管理法(前篇) からの連載記事を参照して下さい。

1.費目構成の準備

 「かけ~ぼ」は、複数の帳簿を管理可能で、しかも帳簿毎に費目構成を変えることができるという特徴があります。しかし、MFFマクロでデータを運用するなら、全帳簿で共通の費目を使用し、そのうえで「その他支出」 「振替支出」 「その他収入」 「振替収入」を追加してください。↓は筆者なりの設定例です。

「かけ~ぼ」の費目の設定例

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