2025/04/26

「かけ~ぼ」V1.55以降にデータをインポートする方法(その1/4)

 長らくお待たせしました。MFFマクロV2.70以降を使って、Android家計簿アプリ「かけ~ぼ」の現バージョンにデータをインポートする方法を解説します。なお、「かけ~ぼ」の基本事項については 2020/06/01 誰も教えてくれない「かけ~ぼ」での家計管理法(前篇) からの連載記事を参照して下さい。

1.費目構成の準備

 「かけ~ぼ」は、複数の帳簿を管理可能で、しかも帳簿毎に費目構成を変えることができるという特徴があります。しかし、MFFマクロでデータを運用するなら、全帳簿で共通の費目を使用し、そのうえで「その他支出」 「振替支出」 「その他収入」 「振替収入」を追加してください。↓は筆者なりの設定例です。

「かけ~ぼ」の費目の設定例

2.「かけ~ぼ」の帳簿とカードの概念について

 箇条書きで解説します。

  • 帳簿:現金・銀行口座に相当する。
    • いわゆる振替取引は、帳簿と帳簿の間のみで行う「帳簿間送金」という特殊な費目で記帳する。
  • カード:口座ではなく、帳簿から支出する際の「支払い方法」として設定する。以下の3種類がある。
    • デビットカード…利用額は、請求帳簿から利用日当日に引き落とされる。
      • カレンダー画面では、利用額は利用日に赤文字(当月の収支計算に反映される)で表示される。
    • クレジットカード…締め日までの利用額が、「請求帳簿」から請求日に引き落とされる。
      • カレンダー画面では、利用額は利用日に薄赤文字(当月の収支計算に反映されない参考額)で表示され、請求日に赤文字で表示される。すなわち、利用額を銀行口座から引き落とす取引のデータは、「かけ~ぼ」が自動的に作成する。
      • 利用日に対する請求日は、設定したルールによって自動的に計算されるが、クレジットカード会社からの取引データの送信が遅くなった等の理由で請求日が変わってしまう場合は個別に修正できる。
      • 複数回での分割払いを記帳できるが、MFFマクロによるデータ変換ではサポートしない。
    • 電子マネー…設定できるのは名称のみで、特定の帳簿とは紐付けられない。
      • 利用額は利用日に薄赤文字で表示される。
      • チャージは、「チャージ」という特殊な費目で記帳する。
      • チャージ額は、帳簿およびデビットカードからチャージした場合はチャージ日に赤文字で表示される。
      • クレジットカードからチャージした場合は金額がチャージ日に薄赤文字で表示され、そのクレジットカードの請求日に赤文字で表示される。
  • カードでの取引は、支出しか記帳できない。よって、取引先からキャンセルなどで返金を受けた場合は、金額がマイナスの支出として記帳しなければならない

 今回の連載記事では、帳簿とカードはこのように↓設定した、という前提で話を進めます。

      帳簿の設定
      • 01財布・06現金ストック…いわゆる現金
      • 23その筋銀行・28この筋銀行…いわゆる銀行口座
      • 72明細分離用…筆者が家計簿を作成する際に1取引で複数の科目を記帳する「複合仕訳」に利用しているダミー口座
      • 91電子マネー用…「かけ~ぼ」は電子マネーを帳簿に紐づける設定が無く、電子マネーの取引を記帳するたびに、どの帳簿上での取引にするか指定する仕様になっているため、その際に指定するダミー口座。名前は何でも良い。
      カードの設定
      • 11モバイルSuica・13Suica…「かけ~ぼ」では電子マネーには名称以外に設定すべき項目は無いので画面例は省略。
      • 51デビットカード…登録タイプを「利用日に登録」、請求帳簿は「23その筋銀行」に設定すると、 「23その筋銀行」から随時引落しを行うデビットカードとして取り扱うことになる。
      • 52プリプリカード…登録タイプを「請求日に登録」、請求帳簿は「28この筋銀行」、締め日を毎月15日、請求日を毎月4日、請求日が休日であった場合の調整を「後日に移動」と設定する
      • 53ペンペンカード…登録タイプを「請求日に登録」、請求帳簿は「28この筋銀行」、締め日を毎月15日、請求日を毎月4日、請求日が休日であった場合の調整を「前日に移動」と設定する

      3.バックアップ

       費目・帳簿・カードの設定を行ったら、たとえデータを全く入れていない状況であっても、一旦バックアップを行って下さい↓。バックアップデータは、Dropboxフォルダの"アプリ"フォルダ下の"かけ~ぼ"フォルダに格納されます。

      バックアップ手順

       "かけ~ぼ"フォルダに含まれるcsvファイルは、かけ~ぼV1.55以降では以下のとおり。このうち、MFFマクロV2.70以降で、「かけ~ぼ」にデータを投入する際に参照するファイルは★がついている4つのみです。

      • budget.csv(予算設定)
      • ★card.csv(デビットカード・クレジットカード・電子マネーの設定)
      • cashbook.csv(「かけ~ぼ」のデータの概要を示す1行があるのみ)
      • ★cashbook_all.csv(個別の取引データ)
      • ★codeName.csv(帳簿のコード番号と名称の紐付けデータ)
      • dailymemo.csv(日記のデータ)
      • fixdata.csv(正体不明)
      • ★items.csv(費目の名称、支出/収入の区分、描画色などのデータ)
      • preference.csv(「かけ~ぼ」のアプリ設定)

      (1)codeName.csv

       帳簿コードは0から始まります。かならずしも順番どおりには並びません。

      codeName.csvの中身

      (2)card.csv

       カード番号は1から始まる。【登録タイプ】の意味は、

      • 0:「利用日に登録」するクレジットカード(すなわちデビットカード)
      • 1:「請求日に登録」するクレジットカード
      • 2:電子マネー

       なお、並び順が99となっているのは、過去に設定したことがあり、現在は(表面上は)削除されているものを示しています。

      card.csvの中身

      (3)items.csv

       費目の定義状況を格納したファイルです。「かけ~ぼ」は帳簿ごとに費目構成を変えることができますが、収支区分の欄が「支出&0」「収入&0」となっている費目は、全ての帳簿に共通して使用する費目になります。

      items.csvの中身

      (4)cashbook_all.csv

      「かけ~ぼ」の個別の取引データが入っています。「かけ~ぼ」V1.52で、バックアップの際の出力ファイルに追加されましたが、復元の際には旧来のcashbook.csvからデータを取り込む仕様でした。V1.55でバックアップを復元する際にもこのファイルを参照するようになり、cashbook.csvは事実上役割を終えました。

       データの形式等については、今後の記事のなかで解説していきます。

      4.MFFマクロV2.70における「かけ~ぼ」へのデータインポートの概要

      (1)クレジットカードの引き落としデータの取り扱いについて

       V1.55より前の「かけ~ぼ」では、cashbook.csvには「ユーザーが手入力したデータ」のみが含まれ、ユーザーの入力によって「かけ~ぼ」側で派生させていたデータ(クレジットカードの引落し取引のデータなど)は含まれていませんでしたが、cashbook_all.csvには含まれるという大きな違いがあります。

       V1.55より前の「かけ~ぼ」に対しては、MFFマクロを活用してデータをインポートする際にcashbook.csvをでっちあげ、デビットカード・クレジットカードの引落しデータは「かけ~ぼ」側で作成していました。

       V1.55以降の「かけ~ぼ」に対しては、MFFマクロV2.70を活用してデータをインポートする際にcashbook_all.csvをでっちあげ、その中にはデビットカード・クレジットカードの引落しデータも含めなければなりません。

       つまり、MFFマクロV2.70以降のMFF2KKB()サブルーチンは、事実上「かけ~ぼ」のデータ処理部分のクローンということになります。これが、MFFマクロの「かけ~ぼ」への対応に凄まじい手間と時間を要する理由です。

      (2)大雑把な手順

      1. スマホ側で「かけ~ぼ」の現時点でのデータをバックアップする(前述の内容で済み)
      2. スマホとPCの双方で、Dropboxフォルダ>アプリフォルダ>かけ~ぼフォルダにバックアップデータが同期される
      3. PC側で、Dropboxフォルダ>アプリフォルダ>かけ~ぼフォルダ の全ファイルを Dropboxフォルダ>アプリフォルダ>かけーぼフォルダ にコピーする。
      4. 「かけ~ぼ」にインポートするMFF形式データを用意する(MFFマクロの一回目動作や、手入力機能を活用)
      5. MFF形式データに対して、変換先ターゲットに「かけ~ぼ」を指定し、関連するファイルの在処に Dropboxフォルダ>アプリフォルダ>かけーぼフォルダ を指定してACF機能を動作させる(ACFの初回動作)
      6. ACF機能を活用して、口座名および費目を「かけ~ぼ」に定義済みのものに整える(ACFの反復動作)
      7. ACF機能を最終動作させて口座名および費目を確定させる
      8. MFF形式データに対して、変換先ターゲットに「かけ~ぼ」を指定してMFFマクロ(V2.70以降!)を動作させる(二回目動作)
      9. cashbook_all.csvの形式に変換されたデータがワークシート"かけ~ぼ"に展開される
      10. ワークシート"かけ~ぼ"において"不定"となっている(黄色に塗られているセル)費目および帳簿をプルダウンメニューから選択して指定する
      11. ワークシート"かけ~ぼ"上でMFFマクロを動作させる(三回目動作)
      12. cashbook_all.csvが出力される。その際、「かけ~ぼ」に入力済みのデータに対して、追加するのか、完全に置き換えるのか を選択する
      13. Dropboxフォルダ>アプリフォルダ>かけーぼフォルダ に出力された cashbook_all.csv を Dropboxフォルダ>アプリフォルダ>かけ~ぼフォルダ に上書きコピーする
      14. スマホとPCの双方で、Dropboxフォルダ>アプリフォルダ>かけ~ぼフォルダにバックアップデータが同期される
      15. スマホ側の「かけ~ぼ」アプリで、バックアップ機能の「復元機能」を使って、データを復元する→これでデータのインポートが完了

       …どこが大雑把なんだ? と突っ込みどころ満載ですが、実際これだけの手順が必要です。本来「かけ~ぼ」側で公式に認めているわけではない、裏口的なやり方であるためです。これだけ苦労して実装した機能を一体何人の方が使ってくれるんだろう…という一種の虚しさも感じながら、詳しい操作方法を次回以降の記事で解説していきます。

      0 件のコメント:

      注目の記事

      家計簿アプリとデータをやりとりするファイル形式のまとめ(第二版)

       二年前の2022/03/14 家計簿アプリとデータをやりとりする際のファイル形式のまとめ でご紹介した情報をアップデートしました。 1.家計簿アプリからエクスポートされるファイルの形式一覧 2.家計簿アプリへインポートするファイルの形式一覧 ...

      最近の人気トップ3