2020/10/07

「貯まる家計簿」に他の家計簿アプリのデータを変換して一括登録する(後篇)

_今回は、前回の記事で出力したCSVファイルを「貯まる家計簿」アプリに一括登録するところを解説します。

5.一括登録そのものは難しくありません

_「貯まる家計簿」Android版では、同じスマホにインストールされているDropboxアプリと連携して、ユーザーのPCの"C:\Users\(ユーザー名)\Dropbox\アプリ\貯まる家計簿"(PCの環境によって異なりますが大抵はこうなるはずです)と同期されたCSVファイルを取り込み(一括登録)します。その一連の操作は↓のようになります。(6)の画面では、(前回の記事で出力した)取り込もうとしているデータを確認できるようになっており、【OK】を叩くと一括登録が実行されます。

「貯まる家計簿」アプリに一括登録する手順

6.問題は一括登録後の資産移動取引の修正

_前篇にて述べましたように、「貯まる家計簿」の一括登録用データ形式には、振替(アプリの用語では「資産移動」)取引のデータにおいて、振替元か振替先のどちらか片方しか指定できないという仕様上の不備があります。そこで、一括登録後に、振替取引のデータをユーザーが修正する必要があります。その手順を解説します。

  • (1)…ホーム画面において「総資産」を選択。9/10にクレジットカードで電子マネーに10,000円のチャージを行っているが、「貯まる家計簿」の総資産画面では、資産移動や引落しの取引を示す金額が表示されないので、ユーザーが9/10に取引があったことを覚えておかねばならない。
  • (2)…「クレジット」から10,000円の資産移動が行われている取引をタップする。
  • (3)…アプリが入金先を「現金」と勝手に設定しているが、備考欄には"★クレジット→Suica#"の文字列(MFFマクロが作成した)が入っている。
  • (4)…「現金」をタップし、入金先の資産としてSuicaを選択する。
  • (5)…【保存】ボタンを叩く。
  • (6)…9/10に資産移動によりSuicaへ10,000円の入金があった、というデータが出現する。これはその下のデータと紐付けられている。
「貯まる家計簿」アプリで資産移動取引を保存する

_…どうでしょう? メチャクチャ面倒臭いですよね? 「貯まる家計簿」は取引データをリスト表示する機能が無いため、カレンダー画面に表示されていない取引を探し出していちいち修正していくのは苦痛でしかありません。特に一日の中で資産移動と支出・収入取引が混在していると大変です。

_そこで、筆者としては「貯まる家計簿」に記帳済みのデータが無い期間に取引データを一括登録する場合に限り、真っ先に「資産移動」の取引のみを取り込むことをお奨めします。取引が混在しているなかから資産移動取引を探す必要は無く、上記の操作を終えてから改めて支出・収入取引を取り込めば良いわけです。

7.クレジットカードやデビットカードの引落しの確認

_ところで…「貯まる家計簿」の一括登録機能を活用するうえでの注意点がもう一つ。それは、クレジットカードおよびデビットカードの設定2020/09/24「「貯まる家計簿」のクレジットカード・デビットカードに関する動作を研究する」参照)を行った資産については、銀行からの引落しの取引データを含めてはならない、という点です(今回取り込んだデータ↓にも含めていません)。なぜなら、そのようなデータは、一括登録したと同時に「貯まる家計簿」のアプリ側で自動的に作成するからです。

貯まる家計簿一括登録用のCSVファイルの中身

_では、↓のように、引落し取引がどのように自動作成されるのか確認してみましょう。まず、9/13のデビットカードによる1,000円+3,000円の買い物は即日に決済されますから、9/13に「銀行」という名称の資産から「デビット引落し」という費目で4,000円が引き落とされます(青枠(1))。これは元のデータには無く「貯まる家計簿」が作成したものです。

デビットやクレジットの引落しを確認する

_また、今回の例では「クレジット」という資産に対して、締め日=15日、引落し日=翌月4日、引落し日が休日の場合は次の平日にズラす、と設定していますので(これも2020/09/24の記事のとおりです)、9/10のクレジットによるSuicaへの10,000円のチャージと、9/12の20,000円の買い物に対する引落しは10/5に行われます。そこで、10/5の取引データ(これも総資産画面では金額が表示されない!)を確認すると、銀行から30,000円の引落しが記帳されています(青枠(2))。これも「貯まる家計簿」が作成したものです。

_なお、それぞれの引落し取引の内訳は、2020/09/24の記事で述べた方法で確認できます。


_いかがでしょうか? とにかく「貯まる家計簿」では「資産移動取引」と「引落し取引」の独特な動作をしっかり把握していないと、混乱すること必定です。

_こういった面倒を回避するには、クレジットカードやデビットカードを銀行口座と同じような資産として取り扱う、という方法もあります。それはそれで利用履歴と引落しの突き合せを手動でやらねばならない、という別の面倒を引き起こしますが…

_「貯まる家計簿」はカンタンとかシンプルを標榜しているアプリではありません。その点を十分に留意して運用することをお奨めします。

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