WindosPC向けの老舗家計簿ソフト「てきぱき家計簿マム10」は、2022年11月に「10」が発売され、これまでにも頻繁な更新が続けられてきましたが、最近のバージョンで、振替取引のデータをインポートする際の挙動が不安定化しているようです。
「10」が登場した当初は、2022/12/04 てきぱき家計簿マム10にCSVファイルのデータをインポートする方法を解説しちゃいます(追記あり) で触れたように、振替取引をそのように認識できないバグがあり、その後のソフトウェアの更新で解消された、という経緯があります。しかし、先日、3ヶ月ぶりに家計簿データのインポートを試みますと…
↑の画面のように、2024/07/03の「口座振替」の取引データを取り込もうとしたところでエラーが発生するようになってしまいました。前回までのインポートでは発生しなかった現象です。現時点での「マム10」のバージョンは64bit版の10.0.0095です。
しかも、このバグはかなり根深いものがあるようです。
今回は2024年7月分の全データをインポートしようとして失敗しています。↑の状況で【続行】を叩くと、プログレスバーが表示されたままの状態で「電子明細の取込」ウィンドウの操作を継続できます。「てきぱき家計簿マム10」は、先の記事でも述べましたように「一度取り込んだデータを重複して取り込まないようにするための仕様」がいろいろと悪さをするので、このウィンドウの中で、取り込みに失敗しているデータを削除しなければなりません。
ただ、これは単純な話ではない。↑の例では2024/07/03の最初の口座振替のデータがエラーを起こしているのですが、ここまでのデータを全て削除しても、実は「マム10」の内部には、この後に続く2024/07/31までのデータのゴミが残っているのです(これはユーザーには見えない)。
このゴミはどうやって削除するのか、というと…、「口座振替を含まないインポート用のダミーデータ」をでっち上げて、それをインポートするのです(筆者の場合は2024/07/01のデータだけにした)。すると、今度はそのダミーデータに続いて、↑でエラーを起こした「2024/07/03の振替取引」(これを振替Aとします)の次に含まれている振替取引(振替Bとします)までがウィンドウ上に表示され、再びその振替取引がエラーを引き起こします。そこで、また↑のウィンドウ上で取り込みに失敗したデータを全て削除して、また前述のダミーデータのインポートを試みて、振替Bの次の振替Cがエラーを発生させ、さらに取り込みに失敗したデータを削除して…ということを7月分全部のデータについて繰り返さなければなりません。
このエラーを回避するには、MFFマクロの処理を書き換えて、振替取引データが「マム10」側で振替と認識されないようにして、インポート後にユーザー各位で全振替データを修正する、という対応をお願いしなければならないでしょう。これは「マム10」の大きな技術的後退です。
「てきぱき家計簿マム」は、「一度取り込んだデータを重複して取り込まないようにするための仕様」に大きな問題を抱えています。インポートしたデータを家計簿に転記するかしないかを選択できるのは良いとしても、内部処理に不備があってこのような問題を起こすのでは本末転倒です。ここは、機能を削減して、インポートを試みたデータは問答無用で転記され、内部にゴミデータは残さない、という仕様に簡略化したほうが良いのではないか、と思います。
今のPC家計簿ソフトの厳冬期にも開発を継続されているのは素晴らしいことではありますが、PC家計簿ソフトの優位点であるインポート機能が不安定になるのは極めて残念。サンテク側の迅速なご対応に期待するや切であります。