2024/03/09

2024年にPC家計簿ソフト「ひかる」を使ってみる人のための解説

  Windows向けPC家計簿ソフト「家計簿,出納簿ひかる(リンクは公式サイト)」(以下、「ひかる」)を当Blogで取り扱うのは初めてです。オンラインソフトウェア大賞97の最高賞たる金賞を受賞した由緒正しいソフトながら、さすがに登場から四半世紀(!)が経過し、現時点での最終バージョンは2017年2月のV9.60で一応Windows11の動作は公式確認されているものの、かなり古いソフトであることは否めません。

 実は、筆者もかつてチャレンジしたことがありますが、そのころはまだ筆者の家計管理に対する意識が低く、すぐに挫けてしまいました。今回は、そのリベンジということで改めて攻略してみたいと思います。

 真っ先に申し上げておきますと、「ひかる」はテキストファイルによる品名データ(「ひかる」の用語で、取引データのこと)は入力・出力共可能であり、それに対応したMFFマクロの新版は近々公開できる見込みです。

1.「ひかる」のインストールと動作設定

 まず、重要事項。Windows10・Windows11に「ひかる」をインストールする際は、↓の画面のようにインストール先を(手入力で)変更してください。

「ひかる」のインストール先を変更する

 インストール後は、↓のように、新規のデータファイルを作るための設定ダイアログが出現します。そう、あのころは消費税率は5%だった…。

ひかるの初回起動

 また、コイツは古いソフトなので、何もしないと文字がカクカクした状態で表示されます。2020/07/25 マイクロソフトマネー、マスターマネー等のPC家計簿ソフトを高解像度ディスプレイで活用する でご紹介した方法でソフトの動作を調整してください。また、「ひかる」は画面表示に使用するフォントを変更できます。これはかなり有難い機能ですね。1980×1080の画面に表示した例を↓に示します(Windowsで倍率を150%にしています)

動作設定変更後の「ひかる」の画面

 「ひかる」が起動したら、↓のように動作環境の設定をしてください。当Blogでは、デフォルトとは異なる設定を推奨しております。特に【金額入力後に備考入力窓を表示する】は必ずONにしましょう。その理由は後述。

入力に関する動作環境設定

2.「ひかる」の費目構成

 「ひかる」の初期状態(↑↑↑の画面の「サンプルの特別品名を登録する」をONにすると設定される)の費目構成を↓に示します。「ひかる」では、MFF形式データでいうところの"費目甲"に相当するものを「項目名」、"費目乙"に相当するものを「品名」と呼び、その「品名」としてよく使うものを「特別品名」と称して事前に登録できるようになっています。

 つまり、「ひかる」では本来、品名は自由入力ができるのですが、そのような使い方をすると、他の家計簿アプリにデータを変換する際に支障するため、特別品目だけを使うようにすることを激しくお奨めします。そうなると自由入力が出来るのは備考欄のみになりますから、前述のように備考欄への入力が出来るような設定をしなければならないのです。

 費目構成↓の突っこみどころとしては…「交通、通信」という項目が大問題です。ネットとガソリン代が同じ項目ってありえんだろフツー…。項目名および特別品名は、順序変更・名称変更(項目名には半角で10文字以内という長さ制限がある)・追加(項目数は支出が30個、収入が14個 まで)・削除・表示/非表示の切換といったカスタマイズが可能ですから、気に食わないところはさっさと直してしまいましょう。

「ひかる」の費目構成

 なお、重要事項として…MFFマクロで「ひかる」のデータを他の家計簿アプリにエクスポートする場合は、「貯蓄引出」・「借入」以外の収入の項目名には、先頭に"□"を付けて下さい。「ひかる」の出力データ形式では、当該の取引が支出なのか収入なのかを判別できないためです(いずれ解説します)

 さらに、項目名のみ設定して、特別品目を何も設定しないと、データ入力の際に手順がすんなり進みません。項目名のみを設定する場合であっても、特別品目は同じ名前で1つだけ設定してください。収入取引の項目名の場合、特別品目には先頭に"□"を付けないでください。

3.「ひかる」の口座種別と取引種別

 前述の「項目名」の中で、支出項目名の中にある「貯蓄入」・「借入返済」と、収入項目名の中にある「貯蓄引出」・「借入」の4種類は取り扱いが特殊で、それぞれ

  • 貯蓄入:銀行口座や電子マネー等の入金。品名は、対象の口座名となる。
  • 借入返済:ローンやクレジットカード等の返済。品名は、対象の借入名となる。
  • 貯蓄引出:銀行口座や電子マネー等の出金。品名は、対象の口座名となる。
  • 借入:ローン等の借金、クレジットカードの利用。品名は、対象の借入名となる。

 という意味があります。「ひかる」では、タンス預金、銀行口座、電子マネー等を「口座」、ローン、クレジットカード等を「借入」という用語で呼びます。かなり違和感がありますが、まあ、これは慣れるしかありません。

 「口座」は、↓のように「貯蓄入」という項目名に紐づいた特別品名として登録します。なお、初期残高は0のままにしておくことをお奨めします。前述したように、支出項目名の先頭に"□"を付けてあることにも注目されたく。

「ひかる」に貯蓄口座を登録する

 「借入」は、↓のように「借入」という項目名に紐づいた特殊品名として登録し、特にそれがクレジットカードである場合は【カード設定】のダイアログで締日等を設定します。クレジットカード関係の機能を使いたくない場合は、【カード設定】のダイアログ内のカード名を空欄にして【OK】を叩いてください。

「ひかる」に新規の借入を登録する

 「口座」・「借入」とは別に、「ひかる」を活用するには「現金」の概念も重要です。「現金」は常時1つのみ存在し、削除はできません。よって、タンス預金など、複数の現金を管理するには別途「口座」として登録することになります。また、「ひかる」では、あらゆる取引はこの「現金」を介して行う、という形で記帳します。例えば、携帯電話料金を銀行口座から引き落とす場合、普通の家計簿アプリであればその銀行口座から直接お金が支出されるように記帳するのに対し、「ひかる」では一旦銀行から「現金」にお金を移し(これが「貯蓄引出」という項目名の意味)、それから「現金」から同額の電話料金を支出する、ということになります。このあたりは、次回以降に改めて解説します。

 ここで重要事項。「貯蓄入」・「借入返済」・「貯蓄引出」・「借入」の4種類の項目名は、名称を絶対に変更しないでください。MFFマクロを使って「ひかる」にインポート可能なデータを生成する際に、この4種類の文字列を取引種別として認識させるためです。「ひかる」側でこの4種類の名称を変えていると、取引データを正しく取り込めなくなります。


今回はここで一旦区切ります。次回は、「ひかる」のデータ入力方法を解説します→

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